一等三角点「三鷹村」

マップファンと自称する、地図大好き人間です。ブログでは、「多摩と地図」に関係することを書いていきたいと思っています。

最初の記事として、地図とは切っても切れない関係の「三角点」について書きましょう。

三角点は三角測量の基準となる点で、日本国土の地図を作るにあたって測量を行い、他の三角点との相対位置関係から緯度・経度・距離を求めて、地図の原簿に記録された地点です。

この三角点は日本全国で約10万8千点(個所)あって、「一等」から「四等」に分類されており、「一等」は三角点のうちでも最初の骨格となったもので、全国に974点あります。多摩地域には、この一等三角点が4点存在します。

今回は三鷹市大沢の国立天文台の中にある「三鷹村」と名前の付いた一等三角点を紹介しましょう。この三角点が設置されたのは大正13年(1924)で、当時この地は「三鷹村」でしたので三角点の名前は「三鷹村」と命名されました。

 

国立天文台敷地内の北西隅に設置されており、あまり訪れる人はいないような雰囲気ですが、そこは「一等」という名前にふさわしく、しっかりした構築物になっています。

コンクリートで周辺部をがっちりと守られたその中心部に、上部に「+」記号が刻まれ、側面に「一等三角點」と彫られた花崗岩でできた石標が埋め込まれています。これが三角点です。

脇の説明板で図示されているように、地中部分にはさらに複雑で大きな石組が埋められており、簡単には動くことのないような構造になっています。

この上にやぐらを組んで、遠方の三角点との位置関係を測量して、この地点の緯度・経度・標高を決定して、紙の上にその位置情報を記して地図を作製していったのです。

近年、明治以降の日本の近代化の下支えとなった基礎技術について、国の文化財に指定されるものが増えてきています。地図という生活に密着したインフラを作るのに最初に設置された三角点も、地味なモノではありますが、いずれ文化財に指定される日がくるのではないかと期待しています。