「フセギ」と言えば
都内清瀬市下宿(したじゅく)の「フセギ」が有名で、毎年5月3日の行われる伝統行事です。集落に疫病や悪霊が入ってくるのを「ふせぐ」ために二本の大木の間に全長20mほどもある大きな藁の大蛇が掛けられ、かつての村の出入り口14ヵ所に小さな蛇が取り付けられる。平成元年(1989)東京都無形民俗文化財に指定。
青梅市内での「フセギ」
青梅市内では、疫病や悪霊が集落に入らないように村境、橋、峠などにワラジを吊るす、しめ縄を張るなど「フセギ」が行われて来た。始まりの時期は不明だが、江戸時代後期にはその記録が有り、戦後までは21ヵ所で行われていたが、現在は岩蔵・谷野・今寺・新町・藤橋・梅郷・柚木地区の8ヵ所で継承されている。
東京都無形民俗文化財 令和元年(2019)3月15日指定
そのうち岩蔵地区(小曽木5丁目)と谷野地区の「フセギのワラジ」が令和元年(2019)3月に東京都無形民俗文化財に指定された。災厄祈願のために編んだ大ワラジを昔の村境に吊るす、都内でも2地区だけになり貴重という理由からである。ワラジを吊るすのは、大ワラジを履く強大な者がいることを示して悪霊を退散させるためともいわれている。
岩蔵・谷野両地区とも昔は、8月1日の八朔の行事
岩蔵地区
「お精進(しょうしん)」と呼び、現在は7月下旬の日曜日に愛宕神社の祭礼と共に行われている。約40cmの大ワラジの中央に1~6個の穴を開けて6つ(3足分)編、木竿に吊るし、小布市(こぶいち)境・富岡境に各2ヵ所、古武士(こむし)境・中里境に各1ヵ所、計6ヵ所立てる。
谷野地区
8月の第一日曜日に、「十王堂祈願祭」と「百万遍」と共に行っている。事前に編んでおいたワラジの中央に1個の穴を開けた約40cmの大ワラジ8個を真竹に吊るし、十王堂・塩船境・大門境・今寺境・小曽木境に各1ヵ所、木下境に3ヵ所、計8ヵ所立てる。
※「百万遍」 江戸時代中期に谷野の真浄寺に納められた数珠(玉数1,080個で長さ約10m)を人々が輪になって「百万遍よ」と言いながら数珠を回すという行事を今でも子供たちが参加して行われている。
昔ながらの行事には、それぞれの意味が有り、無病息災や極楽浄土への往生を願うものであったといわれている。
※参考資料
◎青梅市の文化遺産31
◎青梅市郷土博物館資料