武蔵野線「新秋津駅」をスタート、「淵の森緑地」へはここからが近い。この緑地は、ジブリ宮崎駿さん等の寄付により公有地になり、自ら代表を務める「淵の森の会」のボランティア活動で自然が保全されている。また、ここは「となりのトトロ」のアイデアを練った所とされている。
改札を出てすぐ右の小路に入るとパン屋さん「サントアン」がある。近くに住む宮崎駿さんが会の活動の折に立ち寄ることもあるパン屋さんで、作品「風立ちぬ」に出てきた「シベリア」を置いている。
緑地内で食べると決めて、シベリアとピーナッツバターのコッペを買う。道なりに行くと「秋津神社」に着く(帰りに寄ろう)。てまえを左に曲がって400mほど歩き、柳瀬川に向かって進み「よもぎ橋」を渡れば「淵の森緑地」の入り口がすぐだ。
近くの保育園児だろうか、にぎやかに自然とふれあっている。居合わせたボランティアの方から「アズマイチゲ」が盛りで、これからイチリンソウ、ニリンソウ、キンラン、ギンランも咲くよと聞いた。
ちょつとした台があったのでシベリアとコッペをいただく。淵を下りると水辺の一コマがすがすがしい。
春と言えば、国語の時間に習った詩「春のうた」を思い出される人もおられるでしょう。作者の詩人草野心平が、南秋津中沢、通称「五光」に昭和38年(1963)から昭和63年(1988)に死亡(85歳)するまでの25年間住んでいたところが近いので行ってみよう。
ほっ まぶしいな
ほっ うれしいな
みずは つるつる
かぜは そよそよ
ケルルン クック
「春のうた」抜粋 草野心平
草野心平は「五光」と言う文を書いているが、この界隈を五光と名付けたのは自分で、花札の五光からとったと述べている(草野心平全集第10巻「所々方々」から)。
「よもぎ橋」から西へ900mほどのところだ。途中の「秋水園ふれあいセンター」に「光あまねし」の碑と草野心平の住んだところを尋ねに入る。親切に対応してくれて当時のこともよく知っているのだろう「あ、それは」と住宅地図で示してくれた。住宅開発が著しくて、柳瀬川沿いの水田が広がる風景だったことを忘れてしまう。
「秋津橋」のたもとにその碑が建つ。「五光」とは自然のままにと言う意で、地域の幸せを願って「光あまねし」と揮毫したと説明されている。最初はヒノキの木柱に書かれたが(昭和46年(1971)6月6日)風雨によって読み取れなくなった。そこで昭和56年(1981)に石碑とし、横書きした直筆の御影石をはめ込んである。住んだところは碑から50mほど南で空地となっている。
秋津神社まで戻る、ふるくから秋津のお不動様として信仰をあつめ、本殿の精緻な彫刻が見どころ。ガラスと思うが透明な建屋で覆われて光の反射でよく見えなかった。
新秋津駅(昭和48年(1973)4月開業)から西武池袋線秋津駅(大正6年(1917)12月開業)に向かう。乗り換えでごった返す道路は知るところ。一日平均乗降人員が西武線で10位(2021年)の6万5千人余り、駅の敷地は所沢市・清瀬市・東村山市にまたがる。秋津駅から所沢駅に向かう途中、左手に「淵の森緑地」を眺めながら帰る。