青梅市の山中にある「迷い子石」
青梅市の山中にある迷い子石
山中の森の中にある「おにぎり岩」と「こんにゃく岩」は、何処から来たのか?
本来であれば、「自然状態では絶対にその位置に存在することが無い石」を、「迷い子石」といわれている。石や岩は足が無いので、自由に動けないから存在する訳が無いのに山の中にドーンと鎮座するには何か訳が有るからで、青梅市内には2ヵ所に「迷い子石」がある。
一つ目は、根ヶ布と黒沢を結ぶ山道で犬谷津峠の北方に鎮座している「おにぎり石」である。おにぎり石は大きさが約2m、どことなくおにぎりに似た形で、岩質は硬いチャートである。付近の地質は全て砂が固まった砂岩で、この近くでチャートが分布するのは、北小曽木や平溝側流域(軍畑・榎峠方面)であるから、10㎞位の距離を運ばれてきたことになる。
二つ目は、駒木野から旧二ツ塚峠に向かう途中にある。地元では「蒟蒻(こんにゃく)石」と呼ばれている。大きさが幅14m、高さ5mの大きさで、表面はこんにゃく玉に似てのっぺりしているが、これも硬いチャートである。
今から約70万年前頃の地形は、現在とは大きく異なり、成木7丁目から沢井付近や五日市を経て八王子市上川町を結ぶ線より西側(奥多摩方面)は急峻な山地で、それより東側(青梅、瑞穂、羽村、福生、昭島等から東京方面)は広大な平原(扇状地)であった。多摩川、秋川等の川によって運ばれた大小の礫が、それぞれ扇状地を作っていた。その後、地盤の上昇の結果、多摩川などの河川によって山地を作る地層や礫層が侵食され、この2ヵ所にだけは偶然にも「迷い子石」が残った。
※余談であるが、狭山丘陵(瑞穂町から武蔵村山市・東大和市・東村山市・所沢市)は、古多摩川が削り残した為、丘陵として今でも残っている。
◎参考資料 青梅市の文化財遺産 46号