多摩地域内の「あるもの」が、日本で最北に位置しているというものがあります。さて、何でしょうか?
地図に示しているのがその場所です。
地図を拡大しましょう。どこか分かりますでしょうか?
もう少し大きくします。
この地図に表示されている「上北台駅」が日本最北のものです。
北海道でもないのにこの駅が最北と聞いてもピンとこないかもしれません。駅はもっと北にいっぱいありますから。
多摩地域在住の方であれば「上北台駅」は普通の駅でないことはお分かりでしょう。
上北台駅はモノレールの駅です。
この地理院地図での記号表記を見ても、よく見かける鉄道とはちょっと違っています。
表示されている地図記号を読み解くと、「路面の鉄道」でその路面がすべて「高架線」になっています。
日本ではモノレールは鉄道に分類され、「路面電車の高架化」として整理されていますのでこの記号はそれを忠実に表現しています。
さて、元へ戻って、「上北台駅は、日本最北のモノレールの駅」なのです。
現在日本にはモノレールは10路線あります。以前は向ケ丘遊園や奈良ドリームランドなど遊園地に多く導入されていましたが、それらのほとんどは現在廃止されています。上野動物園モノレールは廃止ではなく休止中ということですので、カウントしています。
モノレールは都市型交通機関として導入されるのが一般ですが、仙台市や札幌市のような大きな都市でも敷設されていません。地下鉄までです。
この状況をみると、「モノレールは雪に弱いから北の都市では導入されないのかな?」と思いがちですが、どうもそのことが決定要因ではなく、敷設および維持管理にかかるコストと輸送力や利便性との関係で、結果的にこのような現状にあるのではないかと思われます。
年間70日以上の降雪日のあるモスクワにもモノレールがあるくらいです。
北国は何らかの理由があってモノレールに向いていないということではなさそうですので、上北台駅が最北のモノレール駅になっているのは、たまたまそうなっているだけということなのでしょう。
さて、この多摩都市モノレールの上北台駅ですが、将来は北限のモノレール駅ではなくなることがはっきりしてきました。
というのは、多摩都市モノレールを上北台駅から延伸することについて東京都が2020年度から具体的に動き出したからです。
⇒「東京都令和2年度予算における主な施策」(P46に記載されています)
計画しているルートは、上北台駅のすぐ北側を東西に走る新青梅街道を西北西へ進みJR八高線の箱根ヶ崎駅へつなごうというものです。
この計画が完成すれば、モノレールの日本における北限の駅は箱根ヶ崎駅に移ります。
そしてもう一つのトピックは、現在多摩地域の26市において「駅」のない唯一の市である武蔵村山市に、念願の「駅」ができることになります。ついでに付け加えると、箱根ヶ崎駅は西多摩郡瑞穂町にありますから、区や市以外の「町」に日本で初めてモノレールの駅ができることにもなります。
(計画では、箱根ヶ崎駅以外にも、瑞穂町内にモノレール駅が設置される予定です。)
これまで道路だけが交通手段であった狭山丘陵の麓にモノレールが通ると、人の動きに変化が起き、町のたたずまいもきっと変わっていくことでしょう。
昔の風情を今でもわずかに残している旧青梅街道沿いの北多摩エリアがこれからどのように変貌していくかが注目されます。
上北台駅から北を眺めると、いずれこの先へ延伸することを想定してモノレールの軌道が作られているように見えます
※使用した地図は、地理院地図およびそれに追記したものです。