中央線の先には何がある?

2016年6月頃であったと思います。武蔵境駅北口からJR中央線に沿って東へ向かって歩いていた時の事、線路のずーっと先のちょっと高い位置に塔のようなものの立っているのが眼に入って来ました。目をこらしてみると、何とそれは東京スカイツリーでした。

中央線脇の道路から見える東京スカイツリー(武蔵境駅-三鷹駅間)

当時武蔵境駅北口は、JR中央線高架化工事の完成に続けて、駅北口広場を整備する工事が最終段階に入った頃で、駅周辺の雑然としていた建物や樹木などが取り払われ、また工事期間中の仮囲いも撤去されて、広い空と見晴らしのきく明るいスペースに変わりつつありました。

東京スカイツリーは2012年に開業しており、2016年頃にはもう目新しさはなくなってきた頃で、多摩エリアにおいては、山や丘陵に登ったときに遠くそれを眺めるときぐらいしか意識することのないものになっていました。

それが、山へ行かなくても、高いビルに上らなくても、地面に立った状態で東京スカイツリーを見ることができるのだ!ということがその時の大発見でした。その後機会あるごとに、多くの皆さんにそこから見える東京スカイツリーを紹介しています。(第7回多摩めぐり「中世の道・参詣の道深大寺街道」の際にもご案内しました。その時のレポートの「11.品川用水跡、本村公園、仙川」に記載があります。⇒https://tama-meguri.com/tama-meguri/report/tamameguri-07-zindaizi-kaido/

さて、線路脇にスカイツリーが見えるということは?ということがちょっと気に掛かり、早速地図で確認してみました。

するとどうでしょう、中央線は東中野駅から立川駅までの約23kmが直線区間になっているのですが、その直線を東中野駅から東へどんどん伸ばしていくと、何と東京スカイツリーに突き当たるのです!(たまたまそのようになっただけ、ということでしょうが、偶然にしても上手くできすぎです。)

中央線の直線部分を東へ延長すると…

隅田川の東部分を拡大すると…

ということは、JR中央線上り列車の先頭に立てば、正面に東京スカイツリーを見続けることができるのではないか、ということで中央線に乗ってみました。

列車の先頭部に立って食い入るように正面を見続けるのは、ましてやカメラを構えたりすれば、他の乗客の視線が気になるところです。しかしそれを気にしていては検証ができません。結果がどうであったかといいますと、東京スカイツリーは列車の真正面に存在感たっぷりに立っていました。ただ、架線やそれを吊り下げる支持物などが邪魔をしていて、見つけるのは容易ではありません。目が慣れてやっと見つけたとしても、線路の高架部分では見えていたものが地上部分(三鷹、国分寺付近)になると駅ビルなどで隠されてしまったり、駅構内では線路が緩くカーブしているために、ずーっと見続けることはできませんでした。

中央線下り列車最後尾・車掌室越しに見える東京スカイツリー(三鷹-武蔵境間)

武蔵境駅北側のビル「QuOLa」から見える中央線と東京スカイツリー

JR中央線は明治22年(1889)の開業以来、23kmの直線区間の謎から始まって、日本で最初の女性専用車両導入・明治45年(1912)、最初のシルバーシート導入・昭和48年(1973)など多くの話材を提供する線路になっていますが、中央線と東京スカイツリーの位置関係の話が新たに一つ加わることになりました。ひょっとしたら誰かが都市伝説として何かストーリーを作り出すかもしれませんね。

今度中央線に乗られる際は、先頭もしくは最後尾に乗車して東京スカイツリーを探してみるのもちょっとした楽しみになるかと思います。