5,6年前だったか・・・新聞に掲載された「イソヒヨドリ」という胸から背にかけて瑠璃色で腹部が赤茶色の野鳥が東京湾から50km離れた八王子市内で目撃された。この野鳥は、海辺に多く見られるが近ごろ多摩地方で目撃されている。その場所が、高層マンション、アウトレットモールなど人目に付き易い場所であるという記事を読んだ。「他に類を見ない美しい鳥」というイメージが消えずイソヒヨドリをカメラに収めてみたいと思い続けていた。
【湯殿川沿いの民家 オス】
【橋本駅近く メス】
今年の2月上旬、八王子・片倉城址公園の近くを流れる湯殿川沿いの民家の屋根に、羽を休めているイソヒヨドリを発見!慌ててカメラを取り出し、写真が撮れた思いの叶った日となった。イソヒヨドリの様子を観察していると他の野鳥と違ってすぐに飛び去らず比較的長く滞留していた。なぜ、長時間その場に滞留しているのか?イソヒヨドリは他の野鳥と違って人が生活している場所に進出したのが浅いために人に対する警戒度が薄いのか?不思議な思いだった。その後2月下旬、所用で神奈川県橋本のショッピングモールへ出かけたところ、相模線の橋本駅近くの架線にメスのイソヒヨドリが止まっていた。そして、3月上旬、今度はオスのイソヒヨドリが工場空き地に舞い降りたのを見て写真に収めた。この空き地は相模線の踏切から比較的近い場所で、立ち去る気配もなく空地の中で何やらクチバシに銜えた獲物をしきりにコンクリート面に打ち付けていた。そのしぐさを見て感じたことは、もともと海辺育ちということで海辺の獲物(ヤドカリ等の貝類、磯ガニ等の甲殻類)と勘違いしているのかな?と感じた。もう一つ不思議に思ったことは、イソヒヨドリと出会った場所が鉄道沿いということ!片倉城址公園は横浜線片倉駅、メスのイソヒヨドリは相模線の橋本駅近くで、工場跡地は相模線の踏切に近い所、イソヒヨドリの生息範囲の拡大と鉄道は何か関係があるのか?疑問が消えない!!
【工場跡地 オス】
参考資料 公益財団法人・山階鳥類研究所 読み物コーナーより 「イソヒヨドリは何故内陸部に進出するのか」都市鳥研究所の要旨 【イソヒヨドリはヒタキ科の鳥類で、全長23㎝とツグミの大きさ。オスは頭部や上面は青色、腹部はレンガ色。才色兼備の野鳥が東京や大阪の街中で「都市鳥」になっている。漢字では「磯鵯」と表示し“岩場の多い海岸に住むヒヨドリに似た鳥”という意味でぴったりした命名。その生息地は、神奈川県三浦半島、静岡県伊豆半島などの岩礁の続く海岸線。しかし、今や名所に“八王子市”がランクインしている。八王子市は東京湾から40㎞離れた標高100m前後の丘陵地にある人口58万人の中核市である。この街にイソヒヨドリが現れたのは1993年とのこと。2009年からは駅の周辺などで繫殖するようになった。今ではその生息地は、JR八王子駅を中心として、八王子市、日野市、多摩市そして、鉄道沿いに山梨県へも広がっている。営巣場所は「鉄道駅の付近」に多いという特徴のほか、「大規模量販店」や「マンション」を選ぶことが多く、立体駐車場や通気口など「雨が降り込まない」位置にあるという共通点が見つかっている。この野鳥が、何故いま街中に進出してきているのか?まず関西地域で定着した分布拡大は現在、関東地方を含めて全国的に見られる。日本中で進行している「イソヒヨドリの内陸進出」はイソヒヨドリ自身の「習性変化なのか」「日本国内の環境の変化」なのか、それとも全く別の理由なのか、その原因を探るべく取り組んでいる】