地図上に描かれた変わった図形

地図を眺めていると、ときどき、「これは何だろう?」と気になる形状のものが描かれています。
普通ならそれで終わってしまうのですが、今回はブログを書くために、今まで気になったものを確認するために現地へ行ってきました。

八王子市南大沢5丁目に描かれた図形

一番気になっていたのは、八王子市南大沢5丁目に表示されている「渦巻き」です。

中央にある渦巻きが目を引きました。

航空写真で見ると次のようになっています。

地理院地図にある航空写真

水色で表示されていますから水が関係しているであろうとは思っていました。
現地へ行った時には水は流れていませんでしたが、渦巻き状の水流を作って水際を楽しめる公園でした。
その名も「うずまき公園」です。
南の方から流れてきた水流を渦巻き状に緩やかに流下させて渦巻の中心に水を流し込んで地下水路を通して排水するといった何とも手の掛かった施設です。
渦巻の末端部分を見ると、水流の幅を保ちつつギリギリのところまで渦を作っているというこだわりも窺えます。
さらには、ごみを取り除くストレーナーについても、渦を意識した形状になっています。

渦の終点部分が気になりますが、このようになっていて排水口があります。

多摩ニュータウンにおける後期の開発地域ということもあって、グランドデザインに余裕が感じられ、意匠を凝らした人々の愉しめる空間を人工的に造成したものですね。
この周辺にはそのような構築物が点在しています。

地図に示される形は上から見た平面図になっているので、一般的には、現地へ行ってもそれを俯瞰することが困難で、地図に示された図形をしっかりと確認することは難しいです。写真を撮っても、角度のないアングルでしか撮れませんので、地図に表示された姿をうまく写せないことがあります。
このうずまき公園は、すり鉢状になっていて上から見下ろす感じで形状をしっかり確認でき、その広さもカメラの画角にほぼ収まるような所でしたので、渦巻きを写真に収めることができました。

八王子市大和田町6丁目に描かれた図形

次は八王子市大和田町6丁目にある「8の字」形が複数連なった形状のものです。

航空写真では次のように写っています。

地理院地図にある航空写真

ここは「カレッジタウン」と言われる「学生用マンション」とのこと。大学の多い八王子ならではの建物でしょうか。
バブル期の1988年に民間不動産会社によって建設された物件で、その後バブルが崩壊してこの不動産会社も倒産して、訴訟が起こってかなり混乱したらしいのですが、現在は新生のカレッジタウンとして学生たちを受け入れているということです。
上で、形が8の字と書きましきましたが、実は「∞(無限大)」を象ったもののようで、学生の可能性を象徴した形状であるとのこと。
地上10階の高い建物なので上から見ることはできず、浅川の対岸から全体の姿を眺めてみてもそのような平面図を描いていることは全くイメージできません。

浅川の対岸(南側)から見たカッレジタウン

建物の近くへ行っても平面図はイメージできないですが、入口にあった建物の配置図を見て「そうなのか」と半分納得できないまま平面図を理解したつもりになるのですが…。

平面図の形状は窺い知ることが困難です。
上の地理院地図よりは建物の構成が分かりやすい

実は、次のような立体的な形状をしていることがGoogle Earthの3D画像で分かります。何と斬新な。
これで全ての画像の状態が腑に落ちます。

Google Earthから3D画像を撮影しました。

府中市旭町3丁目に描かれた図形

次は、府中市朝日町3丁目の東京外国語大学内の円形のもの。

航空写真で見ると次のようになっています。

地理院地図にある航空写真

円形のものは、2000年に新たに開設された東京外国語大学・府中キャンパスのシンボルともいえる「円形回廊」でした。
この回廊の周りには大学の多くの施設が配置されており、雨の日や日差しの強い日には校舎間の移動にありがたいものです。
直径が約90mもあるので、円形回廊を一望する場所は付近に無く、写真ではその部分部分を切り取ることしかできませんでした。校舎の上の方の階から見下ろせば円形を一望できるかもしれませんが、校舎に入ることができないのでここまでです。

私のカメラで円形を示すのはこれが精いっぱい。

下は東京外国語大学の提供している公開画像です。回廊の円形を含め通路なども幾何学的な模様を描き出しています。

東京外国語大学のホームページから採取

武蔵村山市横田基地内に描かれた図形

次は横田基地内にあるバラバラだが整然と分布した形状のものです。

地理院地図から採取。

地図上ではかなり目を引く特異な図柄なのですが、それが何かということは航空写真を見ればすぐ分かります。
横田基地内の滑走路の東側に位置しており、米軍関係者の住宅群ですね。

日本の住宅がこのような配置で立ち並ぶというのはほとんどないでしょうが、横田基地内という「日本ではない所」なので米国のセンスで住宅が立てられていて、日本人の感覚では「何、これ?」ということになります。
参考までに、米国の地図(どこでもいいのですが、ここではダレス空港北側のAshburn付近)を示しましたが、横田基地と同じような印象を受けます。

合衆国地質調査所(USGS)のサイトから採取 https://apps.nationalmap.gov/viewer/

この米軍住宅ですが、それを現地で子細に確認するということは、場所が場所だけにとても困難です。米軍基地を取り巻くフェンスの外から眺めるだけになります。

ものものしい「警告」表示が随所に掲げられている。

周辺の武蔵村山市の住宅と比べると、一棟がずいぶん大きいことがわかりますが、アメリカの住宅だからといって1棟がまるまる1戸ということはないでしょう。
基地の外から眺めると、どうやら1棟で2戸(2戸1)のようですね。

フェンスの外から見た1棟の状態。2戸が入っている模様。

横田基地の地図から受ける印象では住宅がバラバラに並んでいるように見えますが、拡大した画像でよく見ると、道路から引き込んだスペースを駐車場として各住居棟の正面に置くように住宅が配置されているのがわかります。「ハ」の字型がユニットになっている意味合いが分かります。
そして各住居棟へとつながる道路が曲線になっていて「ハ」の字の向きが一定していないのでバラバラ感が増しています。
駐車スペースの区画数を見ると1棟に4台分ぐらいのスペースがあるようです。1戸当たり2台分ですから、日本の基準とは違いますね。

航空写真の部分を拡大(建物と駐車スペースの関係がわかる)
住戸と駐車場。空間に余裕があってアメリカンスタイルを感じます。

このようなことも含めて、日本の住宅ですと家は南向きに立てるというのが基本になっていますが、米国スタイルでは家の向きは二の次で、車の利用を前提に家を建てるということが優先されているように窺えます。


多摩にはまだまだ気になる形状のものが地図に描かれていますが、今回はこの4件の報告とします。