3つの鉄道路線を1か所で見る

今から2年前、2022年6月11日に開催した「多摩めぐり・北多摩を貫く都内で一番長い直線路~多摩湖自転車歩行者道を歩く<Part1>」の下見で、東村山市栄町の「九道の辻」へ行った時のことになります。
9本の道が集まって九道の辻をつくっていたという特異な交差点の形状を確認しようとそこに立って四方を見まわした時に、道のこともさることながら、西武電車の黄色の車両が南・北・西の方角に見えていたことに大変興味を覚えました。
地図で確認すると、ちょうど九道の辻を中心にして南側には西武拝島線、北側には西武多摩湖線、西側には西武国分寺線が走っており、その辻に立てば3つの路線を走る電車が見える位置関係にありました。

                           (地理院地図に追記)

列車の見え方をもう少し詳しく示すと次のようになります。

東村山市「九道の辻」

九道の辻と言われているように、昔は9本の道が交わった場所で、今では1本がブリジストンの工場ができた関係で消滅してしまいましたが、この地点に立つと各道に沿って真っすぐに見通しがききます。その見通しのきく先に3つの路線の列車が見えるという状況です。

立つポイントは、地図上にXで表示されている「八坂交番」の北側で、野火止用水の脇にある庚申塔の前になります。

西武多摩湖線と西武拝島線は府中街道を高架で渡るために邪魔をする建物や樹木がなく、列車はたいへん見易いです。ただし、府中街道は交通量が多く、大型トラックが脇を通ると視界が一瞬遮られてしまい、写真を撮るにはちょっとタイミングを計るのが難しい場所です。
また、西武国分寺線は江戸街道を踏切で交差しますので、列車が通る時は遮断機が下りてできる長い車列や手前の交差点を右や左に曲がる車両が邪魔をして、タイミングが悪いと列車を見ることができません。

以下に、九道の辻から見た3路線の電車の写真を掲げます。

「西武拝島線」府中街道に沿って南方向を見る(下の地図①の方向)
「西武多摩湖線」府中街道に沿って北方向を見る(下の地図②の方向)
「西武国分寺線」江戸街道に沿って西方向を見る(下の地図③の方向)

実は西武国分寺線はもう一つ列車を見ることのできる方向がありました。

「西武国分寺線」宮寺道に沿って北西方向を見る(下の地図④の方向)

これは宮寺道と言われる九道の1つですが、車の通行量がほとんどなく邪魔をするものがないので、はっきりと見ることができます。

さて、この九道の辻を体験すると、「こんなぐあいに3つの違った路線の車両を見ることのできる場所って、多摩地域で他にあるんだろうか?」と気になり、さっそく多摩の地図を広げて他にこのような場所がありそうなところを探してみました。

3路線が集まって来る駅(例えば八王子駅:中央線、横浜線、八高線)であれば、駅構内を探せば3路線の列車を見ることは容易なので、駅は除外して、駅以外の所でそのような場所はないものかと探しました。
そして、駅以外の場所という条件に加えて次の条件も加えて探しました。
・九道の辻のように、3つの線路が並行して走っていないといったロケーションで、私有地ではない場所
・対象路線にモノレールは入れない
・上空から見ることは禁じ手とする。これは空中から見ることだけでなく高いビルから見下ろすということも禁じ手にして、地上に立って眺めるということ
の3点です。
そうすると、九道の辻以外に3ヶ所ありそうでした。

①国分寺市西恋ヶ窪1丁目(中央線、武蔵野線、西武国分寺線)
②八王子市子安町1丁目(中央線、横浜線、京王線)
③八王子市打越町(横浜線、京王線、京王高尾線)

そこで、現場に行ってそれぞれ確認してきました。

国分寺市西恋ヶ窪

このエリアは九道の辻のように3本の線路がきれいな三角形を作っているのですが、一帯が住宅地になっていてしかも道が曲がりくねっているので道に沿って真っすぐに遠くまで見通せるところが無く、住宅に視界を阻まれて、残念ながら1地点から3つの路線の列車を見ることはできませんでした。

                           (地理院地図に追記)

八王子市子安町

このエリアには山田川が流れており、そこに架かる和田橋の上から、3つの路線の列車を見ることができました。
見通しの良さそうな山田川の上流に向かって横浜線を見るというアングルは、ちょうど横浜線が山田川を渡る個所では防音壁が高く設置されていて列車の屋根の上部がわずかに見られる程度でしたので(下の地図の青い矢印)、ちょっと向きを変えて和田橋から西南西に伸びる細い道を通して眺めることができました(③の矢印)。
なお、横浜線の列車をしっかりと捉えることができたのは、南方向に約260m先まで見通しの利く道の上にぽっかりとできた空間で、列車をほぼ正面から見ることができました(④の矢印)。
さらに、中央線の向こう側に八高線も見えるかもしれないと思って目を凝らしましたが、中央線の盛土や樹木に邪魔をされて見ることができませんでした。

和田橋の上から中央線を見る(上の地図①の方向)
京王線を見る(上の地図②の方向)
横浜線を見る(上の地図③の方向)
同じく横浜線を見る(上の地図④の方向)

八王子市打越町

このエリアは京王線北野駅の西側にあたり、形成している三角形の大きさが一番小さく、したがって3つの列車ともかなり間近に見ることができました。

京王線を見る(上の地図①の方向)
京王高尾線を見る(上の地図②の方向)
横浜線を見る(上の地図③の方向)

この地点では京王高尾線と横浜線が立体交差していますので、タイミングがうまく合えば2つの路線の列車を同時に眺めることができます。
最後にその写真を掲げます。

(2024/9/21に追加)昭島市美堀町4丁目

先日西武拝島線に乗った時に、ここでも3つの線路が見えるのではないかな?と思った場所がありましたので、確認に出掛けました。
現地に行くと、予想通り3本の線路を見ることができました。
ということで、上記の九道の辻それに②、③に加えて
④昭島市美堀町(青梅線、八高線、西武拝島線)
の4ヶ所が3つの路線を見られる場所として確認できました。
ただ、青梅線は幅約3mの八高線の高架を通して見ることとなり、しかもこの道が線路の南北を繋ぐ抜け道に使われており、青梅線踏切の遮断機が下りると車がこの間に溜まってしまい、青梅線を見通すタイミングをつかむのはかなり根気のいることとなりました。

西武拝島線を見る(上の地図①の方向)
八高線を見る(上の地図②の方向)
青梅線を見る(上の地図③の方向、八高線の高架を通して見ている。列車の通過を待つ車が2台だけというのは大変稀で、大体がこの高架まで車列が伸びてきて踏切が見通せない。)