アオゲラ~日本にだけ生息する野鳥~

山裾に“ピョッピヨー”と響き渡る野鳥の囀りが聞こえた!その方向の林縁に眼を凝らしてみると、キツツキの仲間・アオゲラが木の幹と向かい合って羽を休めていた。木の幹に縦に留まっている姿勢は、尾羽で体を支えているため他の野鳥にみられない独特の姿勢でアオゲラと直ぐに分かった。

山裾の木に羽を休めるオス

アオゲラの生息の範囲は・・・

日本にだけ生息しているアオゲラは、「2つの線」に囲まれた間に分布・生息している野鳥で日本の固有種である。

2つの線とは、南は屋久島と奄美大島の間のトカラ列島を横断する『渡瀬線=動物学者の渡瀬庄三郎(1863~1929年)が命名した境界線』と、北は北海道と下北半島の間の津軽海峡を横断する『ブラキストン線=イギリスの動物学者のブラキストン(1832~1891年)が提唱し命名された境界線。』である。

ブラキストン線と渡瀬線の位置

アオゲラの特徴は・・・

日本にだけ棲んでいる体長約29㎝前後、体重約120g前後の大型のキツツキで、本州から九州・屋久島に分布している留鳥である。背中は、グレーかかった緑色で頭部とクチバシ横の赤色が印象深い野鳥である。

オスとメスは同じような配色でオスはメスに比べ、頭部の赤い色の部分が多く、メスは後ろの部分だけが赤く見分ける時の目印になる。そして、緑色なのにアオゲラと名が付いたのは、緑色を青色、青を瑠璃色と言っていた時代(平安末期~鎌倉時代)に付けられた名だという。5~6月の繫殖期は「ピョーピョー」と鳴き、ドラミング(クチバシで木をたたく行動)をする。オスは木の幹に穴を掘って巣をつくりメスにアピールする。メスは7~8個の卵を産む。最近では都市の公園のサクラに巣をつくることも有るという。

アオゲラ・・・高尾ミュージアム599 鳥類図鑑より

餌となる食するものは・・・

木から木へ移動しながら、幹を突ついて昆虫やクモを長い舌で、からめ捕って食べる。時には地面に降りて好物のアリやムカデも食べる。秋にはナナカマド、マユミなどの木の実も食べ、人家の柿の実も好物である。

昆虫類から木の実、果実など食べ物は豊富

参考資料・写真                                                 ・野鳥の生活~森に棲む鳥~  著者、中村浩志  発行所(株) 遊行社               ・高尾ミュージアム599 鳥類図鑑