風にゆれるキヨスミイトゴケ~木の枝に緑のカーテン~

キヨスミイトゴケ(ハイヒモ科)は、高尾山の沢沿いの半日影の木の枝から垂れ下がるコケ類。この植物の名前が分からない間は、親しみさが浅かったが知ってからは、垂れ下がるキヨスミイトゴケには独特な姿に趣を感じるようになった。 

『沢沿いに緑のカーテンのようなキヨスミイトゴケ』

名の由来は、千葉県の清澄山(キヨスミヤマ)で多く見られることから、この名が付けられた。茎は木の枝の表面を這い、不規則に分かれて長さ約10~20㎝程になる。茎の下の部分につく葉は、長さ約2~2.5㎜の楕円形で、先の縁には小さくて目立たない鋸歯(キョシ・・・葉のふちにあるノコギリの歯のようなギザギザ)がある。垂れ下がる葉は、先端が細く糸状に伸びていく。色は鮮やかな緑色で、絹のような光沢があり、垂れ下がるその姿は緑のカーテンがかかったように見える。雄株と雌株があり、まれに茎の下の部分に、長さ約3㎜ほどの円筒形の朔(サク・・・ふたのある胞子が入る器官)が付く。朔のふたにはクチバシのような突起ができる。

『沢沿いのそよ風を受けるキヨスミイトゴケ』

[瓜二つのキヨスミイトゴケとサルオガセ]                写真のごとく、キヨスミイトゴケとサルオガセは、外見上たいへん良く似ている。しかし、キヨスミイトゴケはコケ類であるが、サルオガセは地衣類であり、全く種が違う生き物である。                       

『サルオガセ・・・木の幹や枝に生え、糸のように垂れ下がる』

地衣類とは、菌類の仲間で藻類と共生して“地衣体”という特殊な体をつくる。そして、互いに助け合って生きている。菌類は藻類に安定した住み家と生息に必要な水分を与える代わりに、藻類が光合成で作った炭水化物を利用して生き続けている。地衣類は日本国内では約1800種生息しているという。

参考資料・・・高尾山公式アプリ、国立科学博物館・地衣類の探求、     小学館の図鑑NEO植物