トイレ付き車両運行とグリーン車増結の12両編成計画進む青梅線の陰で単線駅に逆戻り~東青梅駅の顔

中央線乗り入れ車両にトイレ
新型コロナウイルス変異株の感染拡大で東京都に4回目の緊急事態宣言発出が決まった(7月9日)前、久しぶりに青梅線から中央線に乗り入れる東京行き青梅特快に乗った。その車両にはトイレがあった。「これが、そうか」と物珍しく眺めた。昨年3月14日以来、中央快速線の東京―大月駅・青梅駅間の列車の4号車の5号車寄りに設置して運行している。
トイレ付き車両といえば、地球上に新型コロナウイルスが出現する数年前に「青春18きっぷ」を利用して中央本線松本駅経由で郷里の富山へ10時間ほどかけて各駅停車の旅をしたときに高尾駅でトイレ付きボックス型車両の下り列車が発車待ちしているのを目にして、私の計画より1本遅い発車だったが、安心して乗っていられることを優先して予定を変更。特急列車では味わえない、風景がゆっくり動く鈍行列車の旅を味わったことが蘇った。

青梅線内で乗り合わせたトイレ付き車両

トイレ入り口のボタン「開」を押して設えを見た。おなじみの作りだった

青梅線を運行する計画の2階建てグリーン車(JR東日本ニュースリリースから)

新造車両の2階建てグリーン車増結
このところ中央快速線とともに青梅線の駅構内が変わりつつある。JR東日本によると、トイレ付きの新造車両に加えて2023年度末の運行を目指しているのが、現在の10両編成に2両の2階建てグリーン車を増結して12両編成で運行する計画だ。そのために中央快速線に直通運転している青梅線を含む全44駅と車両基地で駅舎や線路などの改良工事を進めている。12両編成で運行すれば、トイレ付き車両は4号車のグリーン席と普通車の6号車になる。

12両編成の車両が運行されることによって線路やホームが増減される河辺―青梅駅間

このブログでは、これまで「駅前の顔」シリーズとして連載してきたが、今回は「駅の顔」を変える東青梅駅を中心に青梅線12両編成の運行計画で様変わりする駅について語りたい。
夜間運休で線路移動してホーム延伸
青梅線の各駅では12両編成に対応するためにすでにホームの延伸工事などが進められている。中でも牛浜駅ではJR東日本八王子支社始まって以来の9時間にも及ぶ列車を運休させて工事に取り組んだ。工事が行われたのは昨年11月28日午後9時ごろから翌29日午前6時40分ごろまで。拝島―青梅駅間のすべての列車53本が運休した。この区間はバスで代行輸送。牛浜西踏切も通行止めになった。

拝島―青梅駅間を9時間運休して下り線(写真左の線路)を左へ最大60㎝移動させてホームを延伸した牛浜駅

牛浜駅ではホームを青梅寄りの西へ30m延ばした。この延伸部分の幅を作り出すために下りの線路を160mに渡って南側へ最大60㎝ずらす大工事だった。工事が終わったいま、延伸したホームはコンクリートの色が真新しく12両編成の運行を待つばかりになっている。

ホームの増設に伴う工事が進む河辺駅

ホーム増設して運行機能高める河辺駅
機能を高めるのは河辺駅だ。現在の島式ホーム(1つのホームで上り下りの2線利用)の両端に車両の1両分ずつを延伸した。河辺駅は現在も朝のラッシュ時を中心に平日6本、休日2本のダイヤを組んでいる始発・終着駅であり、待避線1線が敷設してある。これも生かしてホームを2面3線とするため、構内に重機を入れて工事を進めている。
ホーム両端の踏切に阻まれて単線駅に
大きく様変わりするのは東青梅駅だ。現在、この駅から西の青梅寄りにある単線切り替えポイントを駅東側に移動して単線区間を延ばす。このため東青梅駅では島式ホームの1番線(下り)の線路を廃止して、この跡地にホームを延伸する。列車は現在の2番線だけ使い、ここに上りと下りが入線する計画だ。

立川寄りの踏切までホームが延びている東青梅駅。上りと下りの電車が交換待ちする様子が見られなくなる日がやってくる

東青梅駅のホームに近い踏切は青梅寄りにもある。この地点から現在、青梅駅へは単線になっている

なぜ、この計画が生まれたのか。現在の東青梅駅のホームは、両端ぎりぎりの地点に踏切があり、現状ではホームを延ばせるスペースがなく、単線駅にしてホーム延伸の敷地を編み出すという苦肉の策だ。
小作駅から東青梅駅まで複線になったのは昭和37年(1962)5月7日。以来、盲腸のように取り残された青梅駅までの一駅が単線のままだ。今回の12両編成運行計画によって東青梅駅が単線駅に逆戻りすることで、青梅市や青梅駅利用者が長年、願い続けてきた青梅駅までの複線化も摘み取られる格好になった。現在、東青梅駅で行っている上り線と下り線の待ち合わせ交換は今後、河辺駅で行うことになる。

東青梅駅から単線で青梅駅へ向かう電車

発着線とホームを増設した青梅駅
2つ目のホームがほぼ出来上がっているのは青梅駅だ。現在使用している島式ホーム1面で立川・東京発着と奥多摩発着をしている。ホーム北側(2番線側)には車両基地である留置線が5線あったが、すでに2線減らしている。この跡地に発着線とホームを新設した。現在使っているホームの2番線を新たなホームで挟むことで立川方面と奥多摩方面への乗り換えがし易いように対面乗り換えできる。新設のホームと通路、エレベーター設置工事は12両編成の計画がさらに具体化するまで中断している。

2つ目のホーム(中央の白い部分)ができている青梅駅。左奥の車両があるところが留置線

青梅駅構内の留置線。元は5線あったが、ホーム増設で3線が残る。中央にあるのが増設されたホーム

青梅方面へお出かけの際に変わりつつある各駅構内の様子をご覧ください。そして、グリーン車を増結した12両編成の青梅線乗車計画も練ってください。

河辺と青梅駅で新設ホーム共用開始

河辺駅と青梅駅で令和5年(2023)3月18日から新設のホームを供用開始した。

河辺駅は1番線と新設の3番線が立川・東京方面、2番線が青梅・奥多摩方面。青梅駅は1、2番線と新設の3番線が奥多摩・立川・東京方面、新設の4番線が立川・東京方面へ発車する。

なお、同日のダイヤ改正に伴って奥多摩・御嶽-立川・東京間の直通運転を取りやめ、それぞれ青梅で折り返す。新宿-奥多摩間(上りは東京-奥多摩間)を運行していた「ホリデー快速おくたま」は、新宿(上りは東京)-青梅間と青梅-奥多摩間で分離運行とし、青梅-奥多摩間は青梅駅で臨時電車に乗り換えることになった。「ホリデー快速あきがわ」は運転を取りやめた。また、青梅-奥多摩間(4両編成)はワンマン運転に移行した。