武蔵国分寺種赤米のはなし(9)〜土壌のpHやECを測定する〜

  1. 3.11東日本大震災‥‥‥歴史学

きょうは3月11日です。2011年の東日本大震災の日から10年がたちました。3.11は私たち歴史に携わるものに大きな教訓を残しました。東北地方でもどこでも石像物を調査する者ならば津波が海岸から遠く山間部まで到達することを石碑の存在から知っていたはずです。己れの知識を広く社会へ伝える努力を怠っていたことは無いでしょうか。

これまでに確認された死者と行方不明者は1万8425人、また、避難生活などで亡くなった「震災関連死」は3700人以上で、「関連死」を含めた死者と行方不明者は2万2200人にのぼると聞きます。

災害の歴史や津波の到達点を知っていた私たちが社会に対してその知識を伝える努力を行っていたならば、2万2200人のうち何人かはその命を救えたのでは無いでしょうか。

歴史学者の多くは3.11で敗北感に苛まれたと思います。この10年は長かったですが、たった10年とも言えます。次の大地震は何百年も先の話しかも知れません。私たちはあの敗北感を次の巨大地震が来るまで持ち続けることができるでしょうか。

東日本大震災

地震、津波、火災に襲われた自宅があった周辺を見つめる家族(2011年3月15日、岩手県大槌町)

畑の土壌の状態を測ってみよう

さて、きょうは土壌の状態を測ってみましょう。ここでは一般的なpH(potential of hydrogen。水素イオン指数:ピーエイチと読みます)とEC (Electrical Conductivity。電気伝導率(導電率):イーシーと読みます)の2つを測ってみます。pHは7が中性、小さいと酸性、大きいとアルカリ性となります。

pHとECの値と土壌の状態

・pH‥降雨で畑の石灰質が流出したり施肥でも酸性化が進みます。強酸性だとN、P、K、Ca、Mg、B、Moが吸収低下 による欠乏症になり、アルカリ性だとMn、Fe、Zn等は吸収低下して欠乏症になります。一般的には6.0から6.5の微酸性が良いとされています。単位はなし。

・EC‥電気の流れやすさを示します。土壌に金属イオンが多いと電気がたくさん流れます。重要な肥料である硝酸態窒素含量が分かるので、EC値が低いと肥料が足りない状態を示し、EC値が高いと肥料が多すぎる状態を示すとされています。単位はmS/cm(ミリジーメンス)。

pH(ピーエイッチ)を測ってみよう

 

さて、今回は堀場製作所社製のpHメーターを利用して畑のpHを測ってみます。

pHメーター計

LAQUAtwin pHメーターの使用方法を述べます。メーカーのホームページ:https://www.horiba.com/jp/application/material-property-characterization/water-analysis/water-quality-electrochemistry-instrumentation/compact/details/laquatwin-ph-11-25015/

1,一般的な使用方法

私たちが使用しているデフォルト設定の「2点校正方法」「オートスタビリティモード」での一般的な測定方法を示します。この方法は私たちの測定方法であり他の方に推奨するものではありません。※測定は必ず一定の条件、一定の量で行うことが大切です。

(1)ビンに土壌10mgと水25mLを正確に入れ、数分間振とうする。

(2)30分程度の間放置した後に、数分間振とうする。これで土壌サンプルの準備が出来ました。

(3)LAQUAtwin pHの電源をオンする。ONボタンを長押しする。「オートスタビリティモード」は常に測定しつづけます。

(4)pH7の標準液を平面センサ部へ入れる。左右2つの大小円を短絡させる量を垂らす。少し待ちます。

(5)CALボタンを押すと、CAL表示とニコニコマークが点滅し校正が始まります。CAL表示とニコニコマークが点灯したらpH7標準液の校正完了です。

(6)平面センサを水で洗う

(7)pH4の標準液を平面センサ部へ入れる。左右2つの大小円を短絡させる量を垂らす。少し待ちます。

(8)CALボタンを押すとCAL表示とニコニコマークが点滅し校正が始まります。CAL表示とニコニコマークが点灯したらpH4標準液の校正完了です。

(9)平面センサを水で洗う

(10)測定するサンプル液を平面センサ部へ入れる。左右2つの大小円を短絡させる量を垂らす。

(11)ニコニコマークが点灯した値を測定値として読み取る

(12)平面センサを水で洗う

(13)次の測定を行う

(14)平面センサを水で洗う

(15)終了する場合は電源オフする。OFFボタンを長押しする。

一般的にはこの測定方法を行っています。

その他の個別の設定方法

2,標準液を使用しての校正

(1)校正方法の設定。「pH7」「pH4」「2点(デフォルト)」のいずれかから。
・測定可能状態にする
・MEASボタンを3秒間以上押す
・全表示になる
・CALボタンを押す
・CALアイコンを表示させる
・MEASボタンを押す
・現在の校正方法が表示される
・CALボタンを押すと校正方法が変更できます
pH7 → pH4 → 2 → pH7
・MEASボタンを押して校正方法を決定します

(2)PH7標準液での校正
・pH7の標準液をたっぷり垂す
・平面センサーの左右大小2つの円を両方とも覆うぐらいにたっぷりと垂す
・少し待つ
・CALボタンを押す
・CALマークとニコニコマークが点滅する
・CALマークとニコニコマークが点灯する
・校正終了
・センサーのガラス膜は弱いので、優しく水道水の流水ですすぐ
・ティッシュで優しく拭く

(3)PH4標準液での校正
・pH4の標準液をたっぷり垂す
・平面センサーの左右大小2つの円を両方とも覆うぐらいにたっぷりと垂す
・少し待つ
・CALボタンを押す
・CALマークとニコニコマークが点滅する
・CALマークとニコニコマークが点灯する
・校正終了
・センサーのガラス膜は弱いので、優しく水道水の流水ですすぐ
・ティッシュで優しく拭く

左右大小2つの円を覆うように垂らす

3,設定の変更方法

設定の変更は設定モードに入ってCALボタンを押して次設定に移動した時点で決定されます。

(1)設定モードへの入り方

電源 OFF の状態で、MEAS と ON/OFF スイッチを同時に 3 秒以上押すと、LCD が全点灯(2秒間)、ファームのバージョン表示(1秒間)した後、設定 モードになります。

設定は、CALボタンを押すたびに値が決定され、「標準液の設定」→「測定モードの設定」→「バックライトの設定」→「設定モードの終了」の順に遷移します。各設定値はMEASボタンで変更できます。

(2)標準液の設定(STd)

MEASボタンを押すたびに、NIST緩衝液(niS:デフォルト値)、USA鑑賞液(USA)を表示しCALボタンで決定し、次設定へ移ります。

(3)測定モードの設定(MEASボタンマーク表示)

MEASボタンを押すたびに、ASモード(A.S.:デフォルト値)、AHモード(A.H.)を表示しCALボタンで決定し、次設定へ移ります。

(4)バックライトの設定(bL)

MEASボタンを押すたびに、バックライトON(On:デフォルト値)、バックライトOFF(OF)を表示しCALボタンで決定し、次設定(終了)へ移ります。

(5)設定モードの終了(END)

設定モードの終了(End)を1秒間表示し、電源がオフになります。

4,2つの測定モード

(1)オートスタビリティモード
ボタン操作が不要で自動で測定してくれる。
・サンプルをセンサーに垂す
・自動的に測定を行う
・ニコニコマークが点灯したときの値を読み取る

(2)オートホールドモード
MEASボタンの押し下げで測定を開始する。
・サンプルをセンサーに垂す
・1分程度待つ
・MEASボタンを押す
・測定が開始される
・ニコニコマークが点灯したときの値を読み取る

5,測定後のセンサーの洗浄方法

・水道水などの流水ですすぐ
・液絡部(センサーの先端部分)を綿棒などで軽く擦る
・ただしガラス部分に当たらない様に注意する

6,校正データの初期化

・電源をオフにする
・CALボタンとON/OFFを同時に3秒間押します
・INIT表示になる
・CALボタンを1秒押す

7,工場出荷時の設定に戻す方法

・電源をオフにする
・MEASボタンとCALボタンとON/OFFを同時に3秒間押します
・INIT表示になる
・CALボタンを1秒押す

以上、pHメーターの使用法を書きました。次回は実際の測定結果について考察したいと思います。