アジサイ・・・漢字で紫陽花と書くワケとロマンスの花

★アジサイに何故[紫陽花]の漢字が当てられたのか?

それは、平安時代中期の学者・歌人である源順(ミナモトノ シタゴウ911∼983年)という人物が勘違いをしたから!

源順は唐の詩人・白居易(772~846年)文集巻第二十に「招賢寺有山花一樹、無人知名、色紫気香、芳麗可愛、頗類仙物、因以紫陽花名之」(和訳~招賢寺に山花一樹有り、その名を知るもの無し、色は紫にして芳香がある、芳しく麗しい愛すべく花、まるで仙界のような花、因って紫陽花を以って之を名付く)と記されているのを知った。

源順は唐の詩人白居易の文集に記された紫陽花の紫色の花は、日本で言うアジサイであると思い込み日本原生種であるアジサイに”紫陽花”の漢字を当てた。このことがアジサイの漢字表示になり現在に至っている。(白氏文集中の紫陽花はライラックではないかとのこと)

アジサイの種類は、大きく分けると日本古来の原生種であるアジサイと日本からヨーロッパへ渡り品種改良され、大正時代に逆輸入された西洋アジサイ(ハイドランジアと呼ばれている)に分けられる。西洋アジサイは、栽培が簡単で手間もかからず日本各地の公園や庭園、歩道の植え込み等身近なところに植えられ人々の心を癒して来た。今では、世界中で約3000種もの品種があるという。日本の原生種であるガクアジサイ

★長崎に咲いたロマンスの花💙

ドイツ生まれのシーボルトは1823年、長崎出島にあるオランダ商館に医者として赴任した。医学・植物学の分野に長けていた。やがて、シーボルトは日本女性・楠本滝さんに出会い”お滝さん”と呼ぶようになり、一人娘イネを授かった。そして、アジサイにお滝さんを重ね見て「日本植物誌」に「ハイドランジア・オタクサ」という学名を付けてアジサイをヨーロッパに紹介した(現在はこの学名は使われていない)。このアジサイは、西洋アジサイに比べて小ぶりで可愛い花で女性の美しさを表しているという。花の名前に愛する女性の名を付けるとは何とロマンチックなことか。

任期終了して、一時帰国することになったシーボルト。帰国船内から国外持ち出し禁止の日本地図が発覚されて、シーボルトは国外追放の処分となった。お滝さんとイネを心配したシーボルトは手紙の交換を続け愛の灯は永久に灯したという。

長崎市では毎年、紫陽花祭りが行われるが、祭りの正式呼称は「おたくさ祭り」という。「紫陽花」と書いて「おたくさ」と読ませるところに長崎市の粋な計らいを見る。