日ごろ利用する駅前には、人それぞれに抱く「顔」がある。米軍立川基地返還後にUR都市機構が開発したJR立川駅北口のファーレ立川が誕生してすでに四半世紀。歩道の舗石、排気口やビルの壁面に作品を組み込んでパブリック・アートをまちづくりの根幹にした先駆的エリアとして知られる。
その作品群は、36ヶ国92人の作品が109ヶ所で人目を引きつけている。中でも私が気に入っているのは廃材を組んだ、失礼ながら農地の一角にある“掘っ立て小屋の物置”(写真)だ。
制作者の川俣正さん(1953年生)は「倉庫」と題をつけている。幾何学的なビル群にあるからこそ、ご本人の意である「都市と時間がもつ激しくなつかしい関係を知らせてくれる」(「ファーレ立川アートマップ」から)。展示している作品の前だけでもむき出しの土を踏みたくなる、いつも。
ファーレ立川の西側では新たなビジネス街が誕生目前だ。どんな顔を見せてくれるのだろう。