「第49回多摩めぐり 晩秋の奈良ばい谷戸を散策し、小野路宿の歴史を辿る」を11月24日(日)に開催します

2022*多摩で出会った花 ~4
近寄りがたいが気になるマムシグサ 相山誉夫

多摩で出会った花の中で、強く印象に残った花の一つにマムシグサがある。

30年以上も前になるだろうか。多摩の山歩きをしている時に(どの山であったか?)、仲間の一人が「マムシグサがあるよ」と言って、指さした先にヘビが鎌首を持ち上げている様に似た植物があり驚いたことがあった。

 強く印象に残り、早速、マムシグサについて調べてみた。マムシグサは、なんと、サトイモの仲間でした。サトイモ科の植物で有毒植物とのこと。根、茎、葉、花、実すべてに毒性があって、特に根(球茎)に強い毒性があるということです。

 毒性物質は、シュウ酸カルシウム、サポニン、コニインなどで、食すと口中から喉まで激痛が走り、激しい下痢、嘔吐を起こし、重篤な場合は死に至るという。

 マムシグサは、高所よりも谷筋に近い湿地帯を好むようで、春から秋にかけて見かけます。春先に鎌首を持ち上げて花を咲かせる様は異様ですが、秋口に付ける真っ赤な実にも不気味さを感じます。

 それにしても、何故、サトイモとマムシグサは同じサトイモの仲間でありながら、これ程までに大きな差異を生じてしまったのだろうか。

 思うに、サトイモは“美味しくいただかせる”ことによって、栽培を促して子孫を残す。一方、マムシグサは異様な形をちらつかせ、“食べたら死ぬよ”と威嚇し、捕食者を排除して子孫を残す。いわゆる種の保存のために、両者が独自に進化した姿と受け止めたいのだが、マムシグサの異形と毒性を思うとこれ以上近寄りがたい気がする。

開花しているマムシグサ あきる野市の里山 2022年4月9日撮影
青い実をつけたマムシグサ あきる野市の里山 2021年6月21日撮影
熟した赤い実をつけたマムシグサ 八王子市の里山 2020年9月9日撮影