令和6年(2024)12月21日午後、武蔵野市吉祥寺本町で多摩めぐり50回を開催したのを機にこれまで参加した21人が集い、初めて懇親会を開いた。この日の日中は、三鷹市井の頭に今春開館した作家・吉村昭書斎と多摩東端域で江戸時代に開発された武蔵野新田の様子が残るエリアを歩いた後の達成感もあって懇親会は大いに盛り上がった。
6年前、日原から始まった
多摩めぐりの初回は平成30年(2018)3月31日、奥多摩町日原だった。地元の人に山間の暮らしぶりを聞き、唯一の観光地である日原鍾乳洞の入場者が地元を活気づけている実情を知った。会を立ち上げてから6年間に新型コロナのパンデミックで活動を休止した期間があったが、これまでにフルマラソンよりも長い流路の玉川上水を6回に分けてほぼ全区間歩いた。鎌倉街道をはじめ、古道や道に関するテーマで9回、さらに八王子城址など城跡を6回、新選組や村山貯水池(多摩湖)などの水道施設、戦争の傷跡にも、三多摩移管問題にも取り組んだ。伝統を受け継いでいる世界遺産の奥多摩町鹿島踊りと日の出町鳳凰の舞の奥ゆかしい祭りも楽しんだ。これまでの延べ参加者は約1200人。今後も多摩の産業の一角にある酒蔵と多摩の食材を取り込んだ料理にも舌鼓を打ちたいなど多様な切り口で多摩の実情に迫っていきたい。
多摩談義の花が咲いた
懇親会の席上、それぞれの思いを語り合っている姿があった。立川市の男性は「私の推しは滝山城(八王子市)、八王子城、3億円事件現場(府中・国分寺・小金井市)、玉川上水シリーズ、中島飛行機跡地(武蔵野市)、浅川地下壕(八王子市)などなど」と各テーブルで多摩談義の花が咲いていた。
稲城市から来た男性は「個人的に訪れると、ただの散歩だが、きちんとした資料をもらい、説明して案内してもらえるのは個人を超える体験になっている」、川崎市の男性は「参加できない回は、報告(多摩めぐりの会HPのレポート)を読めば、参加したような気持にさせてくれる。資料集めや現地の下見など開催までに大変な作業だろうにと想像している。50回も開催されてきた原動力は『多摩愛』そのものではないかと思う」と事務局への応援歌を送っていた。
主催者・参加者がひとつに
「陸中国(岩手県)住民」という男性からはメッセージが届いた。「貴会の活動を見ると、訪問地の先人の思いを刻んだ郷土芸能、また数々の歴史を反映した建造物などを調べ上げ、それを参加者に丁寧に説明、紹介する姿に感銘を受けている。参加者の表情を写真で伺うに、これまで知らなかったこと、見学・学習して細やかな発見を楽しんでいる事実を、この遠く離れた陸中国から見ている。そこに読み取れるのは開催する側と参加する側の心が溶け合った、和やかな光景です。まったく羨ましい限りです……」
懇親会の2時間は、あっという間だった。参加者一同で撮った写真は華やいだ声が会場から飛び出して響く一枚だった。