「多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児のここだかなしき」と万葉集に歌われるほどに織り手は心を込めた。だが、身分の高い公家や武家は絹を着こなし、庶民は麻、藤、楮など繊維質が硬い布を重ね着していた。鎌倉時代には、すでに青梅は織物の主産地であり、室町時代には「二、七の市」といわれる市も開設されていた。江戸時代になってオランダから幕府に献上されたのも織物だった。そんな中で「青梅嶋」は、江戸市中はもとより全国に伝わる名品として一世を風靡していた。ところが明治時代以降、いわゆる洋物に圧されて青梅織物は昭和の時代に夜具地だけが残り、青梅嶋は姿を消した。
青梅市で藍染め工房を立ち上げている「壺草苑(こそうえん)」の村田博さんは「天然繊維の中で絹やウールのような動物性繊維は紅花、茜、紫などの華やかな色彩も染まるが、木綿、麻などの植物性の繊維には染まりつかず、染まってもすぐに褐色してしまう。藍は違う。動植物の区別なくよく染まり、しかも堅牢に染まる」と力説する。
村田さんが藍染めの「青梅嶋」に惚れ込んだのは40年ほど前だ。都立繊維工業試験場が分析していた反物の糸の太さ、種類、繊維の組織、その密度、染色度合いといったデータを知って青梅織物の歴史にはまった。それだけではない。「青梅嶋を復活させたい」思いに駆られて自ら追究、10年ほど前に復元した。そんなドラマも村田さんから聞けそうだ。織物は多摩地域の産業であり、その流れも知る機会になりそうだ。村田さんの講演後、藍染工房壺草苑を訪ねる。
むらた ひろし 昭和25年(1950)12月、青梅市長淵に生まれる。72歳。中央大学理工学部卒業後、祖父・夏太郎さんが大正8年(1919)に創業した村田染工株式会社に入社。父・長次郎さんの跡を継いで村田染工3代目になった。現在、同社代表取締役会長。長男・博行さんはイタリア・フィレンツェでカバン制作に取り組んでいる。次男・敏行さんは村田染工4代目社長。村田博さんは染色の世界に入って50年。平成6年(1994)に藍染め工房「壺草苑(こそうえん)」を立ち上げた。「藍は染色の原点。青梅織物の原点でもあり、大切にしたい」と追究に余念がない。著書に「青梅『嶋』ものがたり 江戸に開いた粋の華」がある。
開催概要
日 時 | 2023年7月15日(土)午後2時開演 (開場は午後1時半、終了は午後4時を予定) |
会 場 | 青梅市上長渕自治会館 1階 多目的ホール (青梅市長渕7-311、地図参照) |
集 合 | JR青梅線 青梅駅前 12時45分 13:06 青梅駅前発駒木町循環バス(梅77乙)に乗車 「長渕7丁目」下車、徒歩3分 |
費 用 | 参加費1,000円、別途路線バス料金180円要(各自負担) |
募集人員 | 先着50名 |
持 ち 物 | 筆記用具、飲み物など |
申込方法
氏名・住所・電話番号を明記し、Eメールで「多摩めぐりの会」事務局へ
申込と問い合わせ
「多摩めぐりの会」事務局Eメールアドレス ⇒ tama.meguri@gmail.com
申込締切
7月9日(日)
当日の連絡先
090-7286-2124(味藤・みとう)