「第44回多摩めぐり 南町田にできた新しい街グランベリーパークを訪ね多摩最南端の地に足跡を残す」を5月18日(土)に開催します

2020年重要文化財指定、多摩地域からは2件

毎年3月と10月に文化審議会から文部科学大臣に対して国宝・重要文化財の指定に関する答申がなされる。今年も3月18日に答申があり、3件の国宝指定と41件の重要文化財の指定が発表された。

重要文化財指定に多摩地域に所在する文化財2点が含まれているので紹介します。
(画像は文化庁が答申を発表した際に使用したものです)

塩船観音寺の本尊・十一面千手観音立像と眷属二十八部衆立像
青梅市

塩船観音寺の本堂(重要文化財)の本尊である千手観音像は、銘文によれば文永元年(1264)に快勢(かいせい)らにより造られた。彼らは作風や細部形式から快慶系統の作家とみられる。二十八部衆像は文永5年(1268)より21年間にわたり快勢らの後継者である定快(じょうかい)により造られた(銘文による)。その作風は時代が降ると癖を強め、中央の様式から乖離したさまがうかがえることより、定快は関東に定住した仏師と推定される。
関東における鎌倉時代の仏師の動向をうかがううえで重要な遺品。

十一面千手観音立像

二十八部衆立像

下宅部遺跡出土品 東村山市

武蔵野台地の西端、狭山丘陵の南麓に所在する縄文時代後期から晩期を中心とした低湿地遺跡からの出土品一括。漆塗製品は、繊細な文様で飾られた漆塗弓や、精巧に彫刻された柄を持つ赤漆塗容器など、多彩な漆工芸品を含み、それに漆容器として使われた小形土器や、漆の採取痕跡と見られる線刻があるウルシの木杭残欠もある。
縄文時代における水辺の生活と当時の生業・生産技術の実態を復元する上で、高い学術的価値を持っている。
これらは、東村山ふるさと歴史館に保管・展示されている。

下宅部遺跡出土品

 

なお、今回の答申において、国宝・重要文化財の指定ではないが、有形文化財として国に登録されるもの(登録有形文化財)の答申もあり、多摩地域からは次の3件がありました。

近代教科書関係資料(玉川大学収集)12,728点、
玉川大学教育博物館保管 町田市

明治28年(1895)から昭和20年(1945)にかけ日本統治下の台湾・朝鮮・満州・南洋諸島で学校教育に使用された教科書群。教育史上のまとまった研究史料と考えられる。

津雲家住宅 青梅市

衆議院議員であった津雲國利が青梅に建てた迎賓施設。京都と地元青梅の大工が協働して上質な接客空間を施工している。

河鹿園 青梅市

JR青梅線御嶽駅近傍に建つもと観光旅館。大正の終わりから昭和にかけて整備された施設で、行楽ブームとなった奥多摩観光の隆盛を今に残している。現在は、「旅館建物室礼美術館河鹿園」というギャラリーとして活用している。