「第43回多摩めぐり 戦争遺跡の浅川地下壕と緑の聖域武蔵野陵墓地をめぐる」を4月21日(日)に開催します

多摩で出会った花 ~episode9~
クララ     Y.H.

「クララ」はマメ科の多年草です。クララというと西洋の女性名を思いおこし、なんとなくロマンチックな印象があります。しかし、植物のクララは、和名を「眩草(くららぐさ)」といい、クラクラする程苦いことからついた名です。毒草であり薬用植物でもあります。初夏に多数のクリ-ム色の花穂をつけ、秋にはサヤに入った黒い実となります。日当たりの良い山野や川原に生えています。

クララを初めて見たのは、九州は阿蘇の高原にある「あか牛」の放牧地でした。阿蘇のあか牛は和牛ですが、霜降り牛とは違い、草原の草だけを食べて育つ脂身の少ない旨味が特長の食肉牛です。クララは苦い上、毒草なので、あか牛は敬遠して食べません。6月の中旬に阿蘇を訪れた時、高原牧場では夥しいほどのクララが一面に咲いていて感動しました。

クララ 2019年6月18日 八王子宇津貫緑地

そのクララは、八王子でも見られます。標準標本は陣馬山で採取されていますが、八王子の南西部(みなみ野、堀之内、南大沢など)に自生しています。手軽に見るには、長池公園にゆくとよいでしょう。またクララは昆虫に対しても有毒で、寄生虫退治や殺虫剤として有用です。昆虫に対して毒性があるにも拘わらず、オオルリシジミという絶滅危惧種の蝶はクララだけを食草としています。いつかクララに集う可憐なオオルリシジミを写真におさめて見たいと思っています。