黄金に値する豊富な水が出ることから、黄金井が小金井になったとか、ここ小金井市は恵まれて幸せな名前の由来を持っている。今年の締めくくりに気分だけでもハッピーにと思い、市の中心部、JR中央線・武蔵小金井駅に降りてみた。
南口だけだったこの駅に、北口ができたのが昭和18年(1943)、平成11年(1999)に中央線三鷹立川間の立体工事が始まり、平成22年(2010)に立体工事が完了した。南口も北口も見事な変わりようだ。北口の線路沿いに都道で3番目に短い101mの武蔵小金井停車場線がある。
駅をはさんで南北に通る小金井街道を南に向けて250mほど進むと、東西に走る連雀通りと交差する。この連雀通りに面してハケ下へ降りる坂がいくつもある。
ハケを一躍有名にした小説「武蔵野夫人」の著者、大岡昇平が思い浮かぶ。昭和23年(1948)の一時期ムジナ坂下の富永次郎邸に寄寓していた。小説のモデルとなった家が富永邸と言われるが諸説あるようだ、カシやケヤキが覆う斜面に建っていただろうことは想像される。
小金井街道から西側の坂は、旧石器時代の石器が出土した平代坂遺跡がある「平代坂」、細く短い「念仏坂」、幡随院脇を通る「なそい坂」、石畳が美しい「質屋坂」いずれも静かな住宅街を通る。
質屋坂を下って小金井街道をアンダーで通り抜け、少し歩いて左に曲がり左手に金蔵院がある。明治時代に寺子屋(第一小学校の前身)が開かれ、後に小金井村役場として使われた。ケヤキとムクノキの大木がある。
樹林を保存している「はけの森緑地」脇の「車屋の坂」、趣のある階段が周囲に溶け込んでいる。「白伝坊の坂」を下ってさらに進むと小金井の里の総鎮守、小金井神社がある。創建は元久2年(1205)、現在本殿を改修中。
東京の名湧水57選の一つ「はけの森美術館」までは小金井二中を過ぎればもうすぐ、「おお坂」の上の方から「美術の森」を抜けてハケ下に行ける。洋画家の中村研一の自宅の庭であったこの森に湧水があり、庭を潤している。美術館は中村研一の作品を中心に展示されているが、現在は休館中。
子育て観音が坂の途中にあり公募で名前がついた「観音坂」を過ぎると、先ほどの「ムジナ坂」、坂めぐりもそろそろ終盤「みはらし坂」を上って振り返ると、澄んだ空のもと野川の低地と武蔵野公園が見渡せる、なんとも爽快な気分。
リフレッシュした気分を持ち帰ろう、ついでにお土産はスイーツ、小金井街道から農工大通りに入り、300mほど先を左に曲がったところにある洋菓子屋さん、評判のシュークリームを買って帰る。
そうそう小金井と言えばスタジオジブリを忘れてはいけない。小金井市のイメージキャラクターはジブリの作品「こきんちゃん」、キャラクター付きのランチバッグを紹介、前掛け生地で作られていてボタンをはずすとランチョンマットに早変わり(中にも小さいこきんちゃんが沢山)。