府中市四谷の五本松

「多摩川五本松」といえば新東京百景にも選ばれている狛江市の「多摩川五本松」が知られていますが、府中市四谷にも多摩川五本松があるのです。府中四谷橋から600m程上流、丁度「多摩川左岸 37km 」の河川距離標がある場所です。多摩川と浅川が合流するあたりでもあります。

説明板によれば、江戸時代から明治・大正にかけて水防林として植林されたものであり、以前から「下堰(しもせき)の松」と称され、長く地域の人達から親しまれてきました。

大正の初めに護岸工事のために、四つ谷村で「中隠居」と呼ばれていた市川家から国に無償で提供され、大切に保護されてきました。
長い歴史的変遷の中でこのような話も生まれました。

江戸時代の中頃、甲州の商人が病で倒れているのを村民が助け、半年余り玉川(ぎょくせん)寺で手厚い看護をした。病が癒えた商人はその後、甲州で財を成したそうです。四つ谷村の恩徳に報いるために、商人は一尺五寸の木像を寺に奉納し、多摩川堤に松を植えたそうです。その松も次第に少なくなり、「五本松」と呼ばれるようになりました。

長い間の多摩川の変遷と自然の歴史、人の流れを見届け、風雪に耐えてきた松で、特に四つ谷村民の深い情けを末永く府中市民が引き継ぎ、この松をシンボルとして保存しているということです。

堤防のサイクリングロードを歩いていても、ひときわ高い松の木は人目を惹きつけ、シンボルツリーとなっています。

五本松のある場所は「多摩川通り」と言いますが、50m程上流、府中市リサイクルプラザ前の府中市から国立市に代わる地点から万願寺の渡し跡までは「多摩川夕焼け通り」といいます。その名の通り、夕焼けが素晴らしい。夕焼けの富士山が特にきれいに見えて季節によってはダイヤモンド冨士に出会えることもあります。