南浅川に架かる古道橋は鎌倉街道ゆかりの橋

 霜月とはいえ暖かい日が続くなか、10月に歩いた南浅川橋から上流に向かって次の橋・古道橋(こどうばし) まで遊歩道を歩きました。

   この遊歩道は武蔵陵墓地への参道の傍にある陵南公園に沿って続いています。

   この日はコロナ感染者の減少と小春日和のためか、公園も遊歩道も散歩する人が大勢いました。

  古道橋は、東浅川町と長房町を結ぶ鎌倉街道山の道(山の根の道)のルートにあたります。

 この橋は、平成3年(1991)に竣工しました。橋ができたことにより対岸の長房町との往来が便利になったことを喜び、東浅川町の人びとは盛大に祝いのお祭りをしました。

 橋の欄干には鎌倉街道の風景を描いたレリーフが飾られています。

古道橋

古道橋欄干のレリーフ

 鎌倉時代、政治の中心地であった鎌倉へ各地から上った鎌倉街道

  ①上道・信州追分から高崎、所沢、府中を経て鎌倉に至る

  ②中道・奥州から古河、川口、渋谷、鶴ヶ峰を経て鎌倉に至る

  ③下道・常総方面から浅草、保土ヶ谷を経て鎌倉に至る

 の3つの主なルートがあり、その他に

  山の道(秩父道)・秩父から軍畑、網代、長房、狭間、館、相原を結び鶴間で上道に合流するルートがありました。

  この道が古道橋ゆかりの鎌倉街道山の道です。

鎌倉街道(『鎌倉街道』田村栄 より)

   陵南公園の脇の古道橋から続く細い坂道を登って行くと道端に、榎の大木がありその直ぐ隣には、岩船地蔵と庚申塔がありました。今は、地元の人の拠り所となっているようで、お茶やお花が供えられてありました。

榎の大木

岩船地蔵、庚申塔

 古道橋を後に、甲州街道(国道20号)に出ました。

   街道のイチョウは黄葉が盛りで、黄色い絨毯の歩道を武蔵陵参道入口から高尾方面に進むと、しばらくして右側に入る道があり、旧甲州街道の道標が立っていました。この地域は古くは原宿といった現東浅川町です。

 旧道を歩くと、道の両側に、昔が偲ばれる黒板塀と立派な門柱の家が並んでおり、道端には南浅川から取水した用水が静かに流れています。甲州街道と町田街道が交差する辺りでその道は終わります。

   江戸時代に整備された甲州道中が甲州街道と呼ばれるようになったのは明治時代に国道に指定された後のことです。現在はその甲州街道(国道20号)も整備されていますが、八王子市内には江戸時代の旧道が東浅川町の他にも数カ所残っています。

甲州街道から右手に分かれる旧甲州街道

旧甲州街道の道しるべ

旧甲州街道の街並み

 鎌倉街道と旧甲州街道に触れて、二つの街道を通り八王子を行き交った武将、大名、旅人、商人に思いを馳せ、何百年もの時の流れを感じた一日でした。

 参考資料:『原宿むかしがたり』滝本光康

『八王子発見 路地散策案内』中島善弥

『鎌倉街道』田村栄