桜の散る頃、八王子市千人町2丁目にある「宗格院」にボタンを観に行きました。まだ開花には早いかなと思いつつ咲いていることを期待して行くと山門の前に「牡丹が咲きました」という案内がありました。

昨日、一昨日の暑さで一気に咲いたのでしょうか、境内に色とりどりのボタンが開花し、大輪の幾重にも重なった花びらが風に揺らいでいました。小学生の兄妹がお母さんと話しながら写真を撮ったりして花を楽しんでいました。近所に住んでいるので毎日のように来ているそうです。「明日も来ようね。」と、可愛い声が聞こえました。
境内に125株あるというボタンの一株一株に品種が書かれた札が付いていました。ご住職のお話しによると、花の苗木はボタンで有名な島根県大根島の由志園から取り寄せているそうです。沢山の株の中には、同じ品種のものでも蕾を持ちながら開花しないものがあったり、枯れるものもあり、年に7,8株は新しい株を植えているということでした。訪れた日は赤、桃色系の花は咲いていましたが、黄色系の花は開花が遅くこれから見頃を迎えるということでした。その中で、黄色系でもまりもという品種の花は開花し始めていました。この花は咲き始めは黄色く、開いてくると白くなるそうです。赤系、桃色系といってもその濃淡は様々で、他にも白、紫等もあり、大きさも大輪もあれば小さなものもあります。花弁も幾重にも重なったもの、少ないものと千差万別の花が咲いていました。今回見た花は30種類近くでしたが、一つ一つの花に付いた名前(品種名)にはどういう意味があるのだろうかと考えながらその優雅さ、愛らしさを眺めていると、ご住職が桃色の花を指さして「この社(やしろ)は一株に45も花を付けるんだよ。」と教えて下さいました。
境内に咲くボタンの品種

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ボタン
ボタンとシャクヤクは共にボタン科ボタン属の植物でその多くが中国を中心とした東洋に分布しています。ヨーロッパではボタン属の植物全般を指してpeony(ピオニー)といいます。
中国では古くから木本性のものをボタン、草本性のものをシャクヤクと区別してきました。
根や種子に薬効があり中国では古代から薬草として栽培され、利用されてきましたが、その優雅な姿から次第に花として注目されるようにになり、唐代(7~8世紀)になると園芸化が進みました。ボタンは中国のみに原生しており、中国人に「花王」としてあがめられていました。首都洛陽には、武則天(624~705)の命により多くのボタンが植えられ、現在も栽培地の中心地となっています。
日本への渡来は奈良時代で、日本でも当初は薬用植物として利用されましたが、その後花の美しさが注目され多様な園芸品種を作り、江戸時代以来発展してきました。
宗格院
所在地の千人町は江戸時代、八王子千人頭と千人同心の拝領屋敷地であったことが町名となりました。「宗格院」は曹洞宗のお寺で、山号を良介山といいます。文禄2年(1593)に价洲良天(かいしゅうりょうてん)和尚により開山されました。JR西八王子駅北口から甲州街道に出ると「馬場横丁」と記された碑が立っています。この碑が立つ所から南浅川方面に向かう「宗格院」までの道を「馬場横丁」といいます。江戸時代千人頭の馬術訓練の為に拝領した馬場が宗格院の北側に設けられていたところから名付けられました。境内には千人同心組頭の松本斗機蔵の墓(都指定文化財・旧跡)があり、浅川治水の為に築かれた「岩見土手」の一部が残っています。また、「宗格院」境内の「寶寿閣」には八王子八福神の一つ・寿老尊が祀られています。



参考:『ボタン、シャクヤク』 江川一栄、芝沢成広、青木宣明
『暮らしを彩る美しい牡丹と芍薬』シェーン・イースト、ジョージアナ・レーン (監修)倉重裕二
『あなたの八王子 多摩のふるさとを求めて』 渡辺嘉平
『八王子事典』 八王子事典の会
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