青梅の怪伝説

Ⅰ.稚子橋

青梅街道千ヶ瀬バイパスが市民会館から多摩川に架かる万年橋に続く道(国道411)に突き当たるT字交差点の左側に、以前「ふじや」という割烹旅館があり、その門の端に「稚子橋」(わかこばし)という橋がありました。「ふじや」の塀と橋の欄干のわずかな隙間から下を眺めると、かなり深いところに小さな流れが覗かれるという言った具合で、多摩川の「おりん淵」に滝になって注がれていました(現在の住居表示は、滝ノ上町になっています)。

この橋は、夜中に通ると、橋の下から赤ん坊の泣き声が聞こえてくるといわれたものです。昔、ある若い女性がやむにやまれず、この橋から我が子を捨てたのだと言うお話つきで・・・。多分大昔、生まれたばかりの子供を闇に葬らなければ生きていけないほど厳しい時代の悲しい歴史を背景に持つ言い伝えなのでしょう。道路の改修でこの橋も姿を消してしまいましたが、平成3(1991)年、この地に橋の親柱が戻され、傍らに説明板が建てられました。

稚子橋の碑
橋の親柱
交差点からの位置
バイパスから交差点を望む
川があった場所は今は暗渠に成っている(バイパス延長のため)
住居表示

2.おりん淵

 大柳町の旧市民プール場から多摩川を渡るのに架かる「柳淵橋」の下流で多摩川が右に大きくカーブしている場所(市立美術館下)あたりは、昔は本流から外れて青々と水をたたえる淵になっていて、名前が「おりん淵」と言われていたという。この淵には、怪伝説が伝わっている。

 昔、「おりん」という若い女性が、どのような訳があったかは分からないがこの淵に身を投げて死んだというのです。また、一説によると、この「おりん」は重罪のため、この淵に上で処刑されたとも言われているそうでこの多摩川の淵が「おりん淵」と言われています。偶然かとうかわかりませんが、この淵に上から滝になって注ぐ川に「稚子橋」が架かっていたようです。

稚子橋の川の流れがおりん淵に注ぐ場所
柳淵橋から見たおりん淵
鮎美橋からおりん淵の遠望
地図

※参考資料

◎青梅市文化財ニュース 第48号

◎国土地理院地図