昨年(2020)10月NHKで、2年前(2019)の10月の台風19号を基にして荒川の決壊のリスクを検証する番組があった。埼玉県志木市の「羽根倉橋」附近で決壊があったと想定したシミュレーションで決壊地点近くでは6mの浸水が予想された。
荒川水系は東京に4っある一級河川の水系のうちの一つで、北多摩地域では主に清瀬市を流れる柳瀬川が荒川水系に属し、柳瀬川が新河岸川と合流する地点は先ほどの「羽根倉橋」とさほど遠くない。今回は、柳瀬川を辿ってみた。(延長19.6㎞のうち都内は8.1㎞)下図は関連する河川と、流域図
9月も下旬なのに30℃越えの日に歩いた清瀬市内の柳瀬川は、川幅も広く水量も多い、なんといっても水に濁りがない。きれいな川だなと感激。
地元の清瀬市では、柳瀬川に沿って約4kmの散策コースを「柳瀬川回廊」と呼んでエリア別に四季折々の見どころを紹介している。JR武蔵野線が柳瀬川と交差する手前の台田団地付近には、この時期見逃せないヒガンバナが咲き誇る。
川の管理では治水が重要な事項であり、洪水対策が必要なことは言うまでもなく、改修工事の一環として「金山調節池」(貯留量46,000㎥)が平成6年(1994)に設置された。湧水に恵まれており、普段は野鳥や昆虫、水生生物が多く見られる散策コースとなっている。洪水時には川の水が越流堤を越えて調節池に流れ込むようにつくられている。最近では、冒頭で書いた台風19号の大雨の時に川の水が越流堤を越えたと聞いた。また、隣接して「金山緑地公園」があり、川遊びなどで家族連れやグループが楽しむ場となっている。
水量の多い柳瀬川だが、山口貯水池(狭山湖)に源を発し、埼玉県内を流れ中流部で都県境を蛇行しながら東村山市久米川町付近で北川と合流する。北川は村山貯水池(多摩湖)を源とし延長は3.1㎞。なお、北川は途中で、元弘の板碑で有名な徳蔵寺わきを流れる前川(起点は東大和市狭山2丁目、延長4.0km)と東村山市諏訪町で合流している。狭山湖、多摩湖の水を源に流れ下っている柳瀬川、背後には多摩川の存在がある。
西武池袋線の秋津駅から東へ、清瀬市中里付近では、空堀川と合流する。空堀川は、狭山丘陵の武蔵村山市本町にある野山北公園付近を源とする延長15.0㎞の河川で、特定の水源に乏しく、河床の浸透が良いことなどによって降雨時だけ水が流れる涸れ川で、「砂の川」の別名で呼ばれていた。なお、途中の東大和市高木付近で奈良橋川(武蔵村山市中藤にある番太池や赤坂池などの湧水を源とする。延長2.9km)と合流する。
これらの河川の源となっている狭山丘陵及び流域には、畑や雑木林と言った自然が多く残されており、カワセミをはじめとする多種多様な動植物が確認される。清瀬市を中心に歩いてみたが、各河川の流域を辿ってみれば、貴重な自然に触れる機会、さらには歴史や風土の発見が多くあるだろう。