八王子市役所を右に見て浅川に架かる鶴巻橋がある。この橋は八王子市役所新庁舎の建設に伴い1986年に架けられ、鶴巻というのはこの橋の上流にあった元八王子村の字名とのこと。この橋には橋本次郎氏作成の八王子市と関係深い八つの彫像が橋の左右に4体ずつ計8体設置されており眼を楽しませてくれる。
「千人同心の像」 八王子の歴史の中で大きな存在だった千人同心。徳川家康は八王子を軍事・政治的に重要な地として武田の小人頭を甲州口の警護に当たらせ、多くは半農半士の生活をしていた。1652年からは日光東照宮の火消し役を命ぜられた。
「由比の牧の像」 平安時代、弐分方町には朝廷直轄の牧場「由比の牧」があったと言われることに基づいて作られた。由比という地名は現在の弐分方町のこと。
「他の像の概略」
八王子の像⇒牛頭大王と8人の王子、市の木=イチョウを組み合わせてた像
乙 女の像⇒ギターを抱いた女性の裸像で八王子市の発展を望んでいる像
桑の都の像⇒桑都八王子を表し織物業が盛んで八王子織物は市場を拡大した
松 姫の像⇒信玄の息女松姫がモデル。武蔵国に逃れ信松院を開基した。
夕焼け小焼け像⇒赤とんぼを折って夕焼けの空のもと我が家へ帰る姿の像
鶴 舞の像⇒市の花であるヤマユリの衣を纏い鶴と共に大空へ舞い上がる像
[8体の像・・・「西八王子エリア 八王子市公式ホームページ」より]
橋を渡り切ったら浅川の左岸を上流へと足を進める。まもなく北浅川との合流点を過ぎると城山川と合流する。前方に中央高速道路の橋梁が見えるようになった辺りで「メタセコイア化石林」の看板がある。この辺りで足元に注意しながら河川敷へ降りる。
河川敷には奇妙な形をしたメタセコイアの切り株が多数露出している「メタセコイア化石林」と言われている。化石林は石になる前の状態と言われ黒っぽく炭のように見え、荒涼とした風景である。切り株の傍らには「オオカワラヂシャ」という可憐な花が和ませてくれる。
「オオカワヂシャ」 河川淵や湿地などに見られる帰化植物で高さ1m程に成長する。4~8月に淡い紫色の花をたくさん咲かせる。
メタセコイアの化石と確認されたのは昭和42年とのこと。上流に見える中央高速道路の工事が進む中、ある高校の地元の教師が黒く丸い形で年輪が分かる化石を見つけたという。発掘調査によって170万年前から200万年前の立木化石「化石の林」であると認められた。これだけ多くの立木化石が観察できるのは大変珍しいとのこと。
メタセコイアは和名をアケボノスギ、イチイヒノキと言われスギ科の落葉針葉樹で原産地は中国。メタセコイアが地球上に繫栄したのは第三記(6500万年前~260万年前)の時代で国内各地でも多くの化石発掘されている。樹高は30mくらいまで成長し、枝には羽のような葉が左右対称に付く。雌雄同種で3月中旬頃に黄色い花が咲く。果実は直径約1.5㎝位で横に割れ目ができる。針葉樹は一般的には紅葉しないが、メタセコイアは秋には赤みがかった黄葉となり落葉する。メタセコイアは公園、学校など身近なところで多く見られる。
「上」葉の説明・・・対生で両側に規則正しく並ぶ
「下」実の説明・・・冬に種子を散布した後の球果