一月七日に七草粥を食べる習わし~春の七草の生命力をいただく~

一月七日の朝に「七草粥」を食す。
七草粥を食べる習慣は、醍醐天皇の時代(897~930年)の912年から根付いたという。平安時代に書かれた「枕草子」に「七日の日の若菜を六日人の持て来、騒ぎとり・・・」の記述が見られるように宮中では古くから七種の野草を摘んで羹(あつもの)にして食べていた。秋の七草が野に咲く風情のあるものに対し、春の七草は、真冬に根を張り芽を出す野草の生命力にあやかって邪気・万病を払い、神に七草をささげて五穀豊穣を祈った。
又、この日は中国から伝わった”五節句”の一つ「人日の節句」の日とも呼ばれている。
五節句”とは・・・中国・唐から奈良時代に伝わり平安時代に宮中行事となった。その後、江戸時代初期に下記の五つの節句を幕府が公式行事として定めて一般庶民に定着した。
七草の節句[1月7日] 人日の節句ともいわれ人を大事にする日でもある。
桃の節句 [3月3日] 女児の健やかな成長を祈る。ひな祭り
端午の節句[5月5日] 男児の成長を祈る。こどもの日
七夕の節句[7月7日] 七夕祭りのことで星のまつり
重陽の節句[9月9日] 菊の花を浮かべ菊酒を飲み不老長寿を願う

春の七草とは次の七種の野草を言う。

*【セ リ】「競り勝つ」という意味が込められている。水辺でよく見かける野草で食欲をそそる香りが魅力で若菜を食す。ビタミン類が豊富で熱を冷効果があり整腸  作用もあるという。

*【ナズナ】・・・「撫でて汚れを落とす」という意味込められている。別名ペンペン草と呼ばれており若芽を食す。効用として止血作用、胃腸障害、むくみ解消効果があるという。

*【ゴギョウ】・・・「母子草=ハハコグサ」のこと。咳や喉の痛みを和らげる。緑色の葉は草餅に使われた野草。

 

*【ハコベラ】・・・ハコベとも呼ばれ「繫栄がはびこる」という意味がある。効用として胃腸の疲れを和らげ、腹痛薬として使用された。又、口臭予防効果があるという。

*【ホトケノザ】・・・コオニタラビコのこと。タンポポに似た野草で葉が地面を這うように成長して茎の先端に黄色い花が咲く。効用として整腸作用がある。

*【スズナ】・・・カブのことで葉を食す。「神を呼ぶ鈴」という意味が込められている。ビタミンA.Cが豊富で美肌効果がある。又、シモヤケ、整腸作用にも効果があるという。

*【スズシロ】・・・ダイコンのことで主に葉を使用する。「汚れのない白」という意味があるという。咳や喉の痛みを和らげ、身体の抵抗力増進に役立つと言われている。

参考書物
「年中行事としきたり」市田ひろみ 東京書籍
「くらしの歳時記」古川朋子 主婦の友社