カエデ燃ゆ!~陽光受けて色鮮やかに秋を彩る~

今年の東京・高尾山の紅葉は、平年比一週間ほど遅れて11月中旬から見ごろとなり、秋の深まりと共に様々なモザイク模様が出現している。
全国各地の紅葉前線は春のサクラとは逆に北から南へ、又、山頂から裾野へと移る。山々を彩る紅葉は秋の終わりが近いこと、そして冬の前ぶれの現象でもある。

美しく紅葉するには、次の3つの条件が必要。
⓵太陽光が充分に当たること
⓶日中と夜間の気温差が大きいこと
⓷湿度が適宜に保たれていること
日本人が紅葉を愛でることは7~8世紀頃からと言われている。平安時代は「紅葉合=もみじ合わせ」と言って歌で競う貴族たちの遊びであった。江戸時代になると、各地の大名は領有地の名所を訪れ紅葉狩りに出かけた。8代将軍=徳川吉宗は飛鳥山にサクラとカエデを植樹し、江戸庶民の行楽の地として春は花見、秋は紅葉狩りと賑わいを見せた。明治以降、紅葉狩りは国民の秋の行楽旅行の定番になった。

【カエデとモミジの違い?】
植物学的には「モミジ」という単独の植物は存在しない。モミジの語源は木々の葉が赤や黄色に色づくことを「モミチ」といい、濁音化されて「モミジ」となった。カエデ科の植物の紅葉が美しいことからカエデ科の植物を「モミジ」と云うようになった。従ってモミジは特定の植物の名でなく現象を意味するもの。
カエデ科の植物は北半球に広く自生している。北米のサトウカエデ、欧州のノルウェーカエデ、中国大陸のトウカエデが知られているが、日本国内では26種も自生しており多くのカエデがある。特に日光国立公園はカエデ科の植物の宝庫として知られている。

【紅葉のメカニズム】
夏から秋へ太陽光を浴びる時間が少なくなると、葉の付け根に離層というコルク質の組織ができる。そうすると、光合成によって葉の中に作られた糖分が枝に運ばれず葉の中に溜まる。すると糖度が高まり、そこに太陽光が当たると葉緑素のクロロフィルが分解され糖分と化学反応が起こり、アントシアニンという赤色の物質ができて葉が赤くなる。
☆赤くなる主なカエデの種類
・イロハモミジ・オオモミジ・コミネカエデ・ハウチワカエデなど。

 

 

 

 

【イロハモミジ】                             【オオモミジ】

 

 

 

 

【コミネカエデ】                 【ハウチワカエデ】

【黄葉のメカニズム】
葉の中には、クロロフィルという緑色の色素と光合成をサポートするカロチノイドという黄色の色素が含まれている。夏季の間は、光合成が盛んでありクロロフィルの量が多い。したがって黄色は目立たず緑色の葉が目立つ。
夏季を過ぎると、日光が弱くなり光合成活動も弱くなる。すると、クロロフィルの働きが弱まり分解され、隠れていた黄色のカロチノイドが目立ち葉が黄色になる。
☆黄色くなる主なカエデの種類
・イタヤカエデ・ウリカエデ・エンコウカエデ・トウカエデなど。

【イタヤカエデ】          【ウリカエデ】

【エンコウカエデ】         【トウカエデ】