一等三角点「連光寺村」

今までのブログで、多摩エリアにある4つの一等三角点のうち、2点を紹介しました。(2020.1.27のブログ2020.3.9のブログ
今回は3つ目の一等三角点「連光寺村」をとりあげます。

この三角点は多摩丘陵の北部で多摩市と稲城市との市境近く多摩市連光寺にあり、三角点の名称も設置当時(明治16年12月)の村名「連光寺村」と命名されています。

周辺には多摩ニュータウンや米軍のゴルフ場施設などのある一帯ですが、三角点はこの付近で最も高い場所である八坂神社の脇の天王森公園に設置されています。

地形的にどんな場所であるか細かく見てみましょう。下の図は三角点付近の地形を上空から俯瞰して立体的に示したものです。稲城市上空から西方向を眺めている状態です。

この図の高さを5倍に拡大して高低差がはっきりわかるように作図したのが次の図です。

この図を見ると丘陵の広範囲にわたって多摩ニュータウン開発で削り取られて人工的な改変がなされていることがわかりますが、三角点「連光寺村」の右方面(東方)には起伏が残っています。ここには米軍のゴルフ場があって、多摩ニュータウン開発の手が付かなかった一帯になっており、その西の端に近い場所がこの辺りで一番高いピークで、そこが一等三角点の置かれている場所になります。三角点の説明板には、「多摩市最高地点、標高161.7m」と書かれています。(国土地理院の三角点の標高は161.8mであり、この差は何なのでしょうね。)

ちなみに、昔の地図を見ると、三角点の設置されている付近から東京湾の船影を見ることができたことを由来としているという「船ヶ臺」(「臺」は「台」の旧字)という字名が表示されています。それ程高い場所であったということです。(現在の住居表示では「船ヶ台」は使われなくなりましたが、「船ヶ台公園」などにその地名が残っています。)

多摩丘陵のこの辺りは、多摩市、稲城市、川崎市が集まってきている場所でもあるのですが、三市の最高地点がこのエリアに集中しています。次の地図にそれを書き込みました。

稲城市の最高地点は「みはらし緑地」で標高162m。(この標高値は稲城市が公表している数値なのですが、根拠がはっきりしていないようです。国土地理院の標高データを詳しく見ると三角点「連光寺村」(161.8m)の方が高いことが確認できます。)
川崎市の最高地点は川崎市の水道施設「黒川高区配水池」で標高は150mです。(この標高値は川崎市上下水道局の資料から採ったもの。川崎市麻生区のホームページには町田市との市境付近が川崎市の最高地点で標高148mと記載されていますが、これは誤りでしょう。)

同じような高さの小ピークが幾つかある中で、一等三角点として選定されたのはやはり一番高いピークであったということになります。一等三角点を選点する際にはその高さにはこだわりがあったのでしょうね。