毎年桜の花が咲く頃になると、我が家の利休梅が白い花を咲かせる。
高さ4メートルは超えるだろうか、2階ベランダに届くまで成長した。
秋頃に葉の大半が虫に食われてしまい、ひどく心配したこともあった。それでもこの木はビクともしなかった。
この地に植えた10年前は、わずか50センチメートルほどの棒切れみたいな木で、花芽がつくことはなく、葉っぱの1枚もなかった。その時までの5〜6年、あまり日の当らないベランダで鉢植えにしていたので何の変化もなかった。
ところが、地植えした1年後、背丈は小さいながらも葉がたくさん出て、白い花がいくつも咲いた。この時は本当に驚いた。
その後もぐんぐん成長し、人間の背丈を超え、2年後には外壁の高さを追い越し、2階に迫る勢いだった。
そして6年後にはなんと蜂の巣が作られていた。この特徴ある黄色い蜂の巣は、おそらくキボシアシナガバチ。その後も枝葉が生い茂り、ある日、鳩が巣作りを始めようとしていた。生き物たちが棲家にするほど成長したのは嬉しいが、ここで鳩のヒナが誕生したら大変な騒音と糞害でご近所迷惑になるので、早々に巣作りを諦めてもらった。今日も利休梅は生きている。