令和2年、東京都内で唯一の日本遺産に認定された八王子の歴史文化を語るストーリー「霊気満山 高尾山~人々の祈りが紡ぐ桑都物語」、そのストーリーを紹介する展示施設・「桑都日本遺産センター八王子博物館」(はちはく)が6月12日に開館しました。
日本遺産(Japan Heritage)とは
地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として文化庁が認定する制度です。ストーリーを語るうえで欠かすことのできない、魅力ある有形・無形の様々な文化財群を総合的に活用して、国内外へ発信することによって地域の活性化を図ることを目的としています。
全国で104件のストーリーが認定されています。
(「はちはく」パンフレットより)
日本遺産認定ストーリー
絹産業を基盤として発展し“桑都”と称された八王子。
桑都の物語は、戦国時代に関東を治めた北条氏の名将・北条氏照が八王子に居城を築いたことから始まり、霊山・高尾山への人々の祈りが、この地に育まれた豊かな文化を未来へと紡いでいく物語です。
(「はちはく」パンフレットより)
「桑都日本遺産センター八王子博物館」はどんなところでしょうか?
入口手前、左右の壁面に描かれた、「桑都物語」を表現したイラストと正面の「はちはく」ロゴをかたどった画面が迎えてくれました。
館内では4つのテーマ①霊気満山・高尾山、②滝山城と八王子城、③八王子のまちと人々、④桑都と織物について、様々な資料と映像で紹介されていました。
①霊気満山・高尾山
高尾山には、奈良時代天平16年(744)に開山した「飯綱大権現」をご本尊とする薬王院があります。
戦国時代、八王子を支配した北条氏照をはじめとする戦国武将をが薬王院を信仰し武運を祈りました。
江戸時代には、絹商人、養蚕農家の人々も薬王院にご利益を求めました。
豊かな自然を残す高尾山は、動植物の種類が多く、1,300種類以上の自生する植物の中には、タカオスミレで知られるように「タカオ」の名がついているものが11種類あるそです。一年を通して多くの登山者、観光客で賑わっています。
夕暮れになると、「空飛ぶ座布団」といわれるムササビが飛ぶすがたを見ることができるかもしれません。
②滝山城と八王子城
戦国時代、八王子を支配した北条氏照は武田信玄、豊臣秀吉の進軍に備え、軍事拠点となる山城をつくりました。
丘陵に築かれた滝山城からより強固な備えをと急峻な地形を利用した八王子城に居城を移しました。
この地には八王子の名の由来となったといわれる八王子権現が祀られている八王子神社があります。氏照はこの八王子権現を城の守護神にしました。
神社には、横川村の鋳物師加藤次定が製作し、八王子城山の修行者鉄船無心が奉納したという「八王子」の文字を鋳出した扁額があります。この扁額は八王子市の市指定有形文化財(工芸品)になっています。
八王子城跡の御主殿を中心とした発掘調査により、多種多様な遺物が出土しています。
③八王子のまちと人々
八王子城落城後、関東を支配することになった徳川家康の命を受けた大久保長安は後に千人同心となる武田家旧臣等を中心とした武士集団を組織し城下の治安維持にあたると共に、甲州道中を整備し宿場町をつくりました。
八王子には、甲州道中で最大の関所・小仏関所がありました。
千人同心の初めの頃の仕事は軍務が中心でしたが、太平の世になると、将軍の警護をなどを務め、後に日光火の番を命じられると幕末までその任につきました。
八王子宿(横山十五宿)のうち、横山宿・八日市宿では毎月市が開かれ、様々な取引が行われるなか、市の発展と共に特産の絹の需要が高まっていきました。
④桑都と織物
八王子宿には、大量の生糸が周辺の産地から集められ、幕末から明治期にかけ「絹の道」を通り、横浜へ出荷されました
絹産業の発展は「多摩織」という伝統工芸品を生み出しました。
桑都八王子では、「車人形」などの伝統芸能が受け継がれ、「千貫神輿」・「山車」で賑わう「八王子まつり」が行われています。
4つのテーマのコーナーのほかに、車人形や機織りを体験できるコーナーもあります。
図書やグッズも販売されていたので、郷土と歴史の「桑都八王子かるた」を購入しました。
「桑都日本遺産センター八王子博物館」は高尾山と桑都八王子の人々とのつながり、八王子の歴史・文化と様々なことに楽しく触れることのできるところでした。
「桑都日本遺産センター八王子博物館」
所在地:JR八王子駅南口 サザンスカイタワー八王子 3階
開館時間:10:00~19:00