野川と国分寺崖線~野川の成り立ちと国分寺崖線のはじまりを探して~

私は国分寺市に生まれて60年越えの爺さんです。近年は国分寺市教育委員会主導による小中学校のコミュニティスクール体制や、いわゆる「国分寺学(こくぶんじがく)」による子供たちへの授業で講演や散策をすることが増えています。
きょうはそんな小学生への授業である「野川源流スクール」で私がよく話していること、野川や国分寺市と関係が深い「国分寺崖線のはじまりはどこか」について話そうと思います。

野川について

はじめに野川全体図を見てみましょう

野川は国分寺市の(株)日立製作所中央研究所内の大池を源流として南東の方向に流れ、国分寺崖線からの湧水を集めながら、国分寺市、小金井市、三鷹市、調布市、狛江市、世田谷区をへて世田谷区の二子玉川付近で多摩川に合流する全長20.2km、流域面積69.6 ㎢の一級河川です。支流には、元町用水(清水川)、仙川、入間川などがあります。

日立中央研究所の大池 湧水を集める大きな池

野川全体地図 野川は大昔の古多摩川のなごり川。国分寺崖線のすぐ南を流れる

なんと国分寺市唯一の河川で一級河川なのですね。野川のすぐ北側には国分寺崖線があります。

野川の成り立ち

国分寺崖線は、古多摩川(大むかしの多摩川)の浸食によってつくられた河岸段丘崖です。国分寺市の西町あたりから始まり世田谷区の二子玉川をへて大田区の田園調布付近まで続いています。野川は、古多摩川が流れを南へ移した跡を、崖線からの湧水を集めながら流れています。そのため、古多摩川の名残川とも言われています。

国分寺崖線が地下水脈を切ったため流れ出る湧水を集めて流れる野川

古多摩川がまだ武蔵野台地(武蔵野段丘面)の上を流れていたころの川底が武蔵野礫層でそこを流れている浅層地下水が国分寺崖線で切られて湧水として流れているのですね。野川のすぐ北側に国分寺崖線がある理由が分かりましたね。

大昔から人々が住んでいた

人々はこの水を求めて、古くから野川流域に住みつきました。そこで野川流域には旧石器時代からの遺跡がたくさん発見されています。国分寺市を含む野川の流域は、遺跡の宝庫と言われています。

野川流域の今から3万8千年前から1万6千年前の旧石器時代の遺跡の分布図

整備計画工事が終わっている小金井市

「野川流域河川整備計画」の工事は下流から行われています。「緑豊かな土の護岸」にして多くの生きものにとってすみやすい環境になっている小金井市域はこの様に水辺を散策できるようになり、子どもたちが安心して水遊びできるような川になっています。

里山の風景のような整備計画が終わっている小金井市域の野川のようす

残念な国分寺市域の野川

ところが野川の最上流部である国分寺市域はまだ「三面コンクリート張り」のままです。工事が途中で止まっているのです。悲しいですね。

早く国分寺市域の野川も河川改修工事を行って私たち子供たちが水に触れることのできる川に戻ってほしいですね。

整備計画工事が途中で止まっている国分寺市域の野川のようす

国分寺崖線のはじまりの場所を探そう

それでは野川の源である湧水を生んだ国分寺崖線のはじまりの場所を探してみましょう。
さきほど『国分寺崖線は、国分寺市の西町あたりから始まり世田谷区の二子玉川をへて大田区の田園調布付近まで続いています』
と書きました。

国分寺市内にある有名な国分寺崖線のはじまり

さきほどの『国分寺市西町あたり』にある国分寺市民には有名な『国分寺市内にある国分寺崖線のはじまり』に行ってみましょう。

ここが国分寺市民には有名な国分寺市内にある国分寺崖線のはじまり地点です。ハケ下の道を北方向へ歩いて行くと、崖上面がだんだん近づいてきてあたかも国分寺崖線の高さが無くなっていくように見えます。有名なスポットですよ。

国分寺市内にある有名な国分寺崖線のはじまり

でも、実はこれ目の錯覚でした。崖がだんだん無くなっているのではなくて、この道が崖を登っているのでした。その証拠にこの道の左側(西側)に高い国分寺崖線の崖が見えています。この場所は造成が進んでいるので数年も経つと風景が一変してしまうかも知れません。国分寺市民ならば「国分寺市内にある国分寺崖線のはじまり」スポットぐらい覚えておきましょう。

【地図】有名な国分寺市内にある国分寺崖線のはじまり

五日市街道の北にも国分寺崖線

そういえば五日市街道の北方にも樹林地があることを思い出しました。立川市の川越道緑地(古民家園)の方へ行ってみましょう。途中で国分寺崖線を発見しました。

古民家園へ行く途中で見つけた国分寺崖線

はっきりと高低差のある国分寺崖線ですよね。宅地や畑は平たんなので崖線は残りやすいかも知れません。

【地図】古民家園へ行く途中で発見した国分寺崖線

古民家園東の国分寺崖線

立川市の古民家園は川越道緑地という国分寺崖線にあります。国分寺市には古民家園が無いので一度は訪れた方が良いです。オススメします。

立川市の古民家園東隣の川越道緑地。ここも国分寺崖線です

【地図】川越道緑地には飛び地があって北西の方角へ国分寺崖線が伸びていることがわかる

造成地の向こうに崖を発見

もう少し北西へ行ってみましょう。注意して遠くを見ると宅地造成している一画のいちばん遠くに崖を発見。すこし浅くはなってきていますが国分寺崖線です。

宅地造成している一画のいちばん遠くに崖を発見

【地図】宅地造成の一画を南側から見ました

あっバス置き場が高い!

もう玉川上水駅が近いです。それでも畑の向こうにバス置き場あるのですが、盛り土をしたのかな、高いところにバスが止まっていることを発見。畑やバス置き場は比較的広い土地を平たんに利用すので国分寺崖線が見つけやすいです。いまのところ、ここがはるか田園調布まで達する「国分寺崖線のはじまり」と断定しちゃいましょう。

畑の向こうに止まっているバスが高いところに見える

 

「あっバスが高いところに止まっている」ここが国分寺崖線のはじまりと断定

 

玉川上水駅までくると崖がない

芋窪街道まできました。玉川上水駅です。しかしここでは国分寺崖線の高低差を見つけることは出来ませんでした。残念。

玉川上水駅南の芋窪街道。上を多摩モノレールが走っている。ここまでくると国分寺崖線は見つけることは出来なかった

【地図】西武拝島線・多摩モノレールの玉川上水駅南。

今回のとこるは、国分寺崖線のはじまりは「バス置き場」と断定しておきましょう。

ただ地図を見ると、この少し西側の立川柏町団地の10号棟と7号棟の間に緑地があります。団地の大規模造成で平地を作るので崖が顕著になっている可能性があります。またこの辺りは畑や日大二高のグランドもあるので国分寺崖線が発見できるかも知れません。その時はまたここで発表しますね。みなさんも「国分寺崖線を見たことがある」「うちの庭が国分寺崖線だ」等の」情報がありましたら、お聞かせください。宜しくお願い致します。