2月の初旬、東京都保険医療局が案内しているコースの1つ、小金井市の「緑とせせらぎのコース」、約4.8㎞を歩いてみた。
JR東小金井駅南口を出て都道247号線に入り、しばらく行くと右手に1つ目のポイント、市立栗山公園が現れる。
栗山公園は思ったよりも広い公園で、さまざまな遊具で子供たちが遊んでいた。公園の西側にはきれいな水を湛えた池があり、池底から絶え間なく水が湧き出ていた。公園の南に面した一角には3階建ての洒落た形の建物「栗山公園健康運動センター」が建っている。ダンス、体操、エアロビクスなどが行われ、温水プールを備えている。栗山公園は市民の憩いと健康維持増進を目的とした公園とのこと。
栗山公園を出て、都道247号線を少々南へ進むと農工大通りに出る。農工大通りを西へ向かうと2つ目のポイント、東京農工大学小金井キャンパスが現れる。
小金井キャンパスは工学系の学部で、お隣の府中市に農学系の学部「府中キャンパス」が建っている。
東京農工大学は明治7年(1874)創立の国立大学で、今年、創基150周年を迎えるという。中央線の車窓から小金井キャンパスの一角をそれとなく見てきたが、歩いてみて、あらためてキャンパスの広さを実感した。
農工大小金井キャンパスを後にして、農工大通りを西へ進むとまもなく中山谷通りと交差する。中山谷通りを南へとしばらく行くと都道134号線(連雀通り)に出る。連雀通りを横切って、ゆるやかな坂道を道なりに下る。ゆるやかな坂道はハケ(段丘崖)に造られた道で、農工大などがある武蔵野面(河岸段丘)とハケ下にある立川面とを結んでいる。
ハケは国分寺崖線を形作っており、斜面には豊かな樹木と湧水を活かして作られた市立「美術の森緑地」が広がっている。緑地内の「湧水の池」は東京都の「名湧水57選」に選定されている。
美術の森一帯は、洋画家・中村研一が晩年を過ごした邸宅跡で、森の一角には国の有形文化財に指定されている旧主屋(現・美術館付属喫茶棟)と茶室「花侵庵」、そして3つ目のポイント、中村研一の作品を所蔵紹介するはけの森美術館が建っている。美術館は3月オープン予定とのことで休館中であった。
はけの森美術館を後にして、ハケ下を通るハケの道へ出る。ハケの道を西へ進み、4つ目のポイント、小金井神社へ向かう。
小金井神社は元久2年(1205)創建で、武蔵野開拓にあたり、菅原道真公の徳を敬い社殿を造り、天満宮としたと伝えられている。明治に入って、小金井の里の鎮守として地名にちなみ「小金井神社」と改称した。
広い境内を持つ小金井神社には、先のブログで紹介した全国でもめずらしい石臼塚が祀られている。
小金井市の地元農家の人々が「農家にとって長年お世話になった石臼をこのまま放置しておくのはご先祖様に申し訳ない。石臼に感謝するために石臼塚を作ろう」と呼びかけを行い、昭和49年(1974)、農業協同組合が中心となり、農家や市民の賛同者56名から集めた上臼と下臼合わせて94個を富士山の溶岩を主体に造った高さ3.2mの山に散りばめて石臼塚を完成させた。石臼塚は小学校の教材にもなっているという。
小金井神社の参拝を終え、南へ下り、5つ目のポイント、都立武蔵野公園へ向かう。
武蔵野公園は、国分寺崖線のハケ下を流れる野川の両岸に広がる公園で面積は24ha。小金井市と府中市に含まれ、野川に沿って残る草原や雑木林を配していて、園内には野球場やバーベキュー広場などの施設がある。訪れた日には、近隣の人々であろうか、広場でサッカーの練習に興じていた。
武蔵野公園から6つ目のポイント、野川へ向かう。
野川は、国分寺市にある日立製作所中央研究所の敷地内から湧き出る湧水を水源とし、さらに国分寺崖線ハケ下の湧水を集め、多摩川へと向かって流れている。
野川は二子玉川で多摩川に合流するまでに、国分寺市、小金井市、三鷹市、調布市、狛江市、世田谷区の6つの市区を経過し、流路の総延長は20.5㎞。訪れた日の野川は、水量はさほど多くなかったが、冬の日の陽光を水面に照らしおだやかに南東方向へと流れていた。
野川左岸の遊歩道を野川の流れに沿って歩き、最終ポイント7つ目の都立野川公園へ向かう。西武多摩川線の陸橋下を通って野川公園に入る。
野川公園は40haに及ぶ広大な公園で、以前は隣接する国際基督教大学のゴルフ場だったという。小金井市、調布市、三鷹市にまたがっており、東八道路を挟んで南北に広がっている。前身がゴルフ場ということもあり、広い芝生が目に飛び込む。
園内には、自然観察園、キャンプ場、バーベキュー広場、アスレチックコースなどの施設が設けられていた。自然観察園には自然観察センター、ホタルの水路木道、野鳥観察コーナーがあり、自然保護を目的とした活動を行っているという。
最終ポイントの野川公園を後にして、出発地点のJR東小金井駅へと帰路に着く。かつて訪れたことのある個所も含めて、それぞれの個所で新たな光景と情報を得ることができた。2月という冬の時期のため、緑はいささか乏しかったが、湧水とせせらぎが心地よく散策を楽しませてくれた。
参考資料
*緑とせせらぎのコース 東京都保険医療局
*江戸・東京農業名所めぐり JA東京中央会
*各関連事項ホームページ
*地理院地図 国土地理院