カラスウリの観察記~夏の夜に咲く神秘的な白いレース状の花に魅せられて~

カラスウリはウリ科のツル性の植物で藪や林の縁などで見られ、巻きひげという器官で他の樹木に絡みついた状態で見られる雌雄異株の植物である。
雄花は花序(次から次へと蕾が出来て花が咲いていく)をつくり、雌花は一つ咲く、ともに純白の一夜花である。
秋には5~7㎝位の赤く熟した実ができ、遠くからでも大変よく目立つ。赤い実の中の種子は20~30粒、黒く独特な形をした種ができる。
カラスウリという名前の由来は、“カラスが食べる瓜”という説や、蔓が絡みついた木々を枯らすので“枯らす瓜”から名付けられたという。
◎花・・・一度見たら忘れられない一夜花!

夜の観察のために、昼間に生育場所を見つけて蕾の有無、位置を確認しておいた。雄花には複数の蕾ができ、次々と日ごとに開花するため続けて観ることができる。
夏の夜の8時頃行ってみると、白いレースの糸がほぐれるように花が咲いた。蕾の状態からレース状に広げて、絡まったり重なり合ったりしないものだと不思議に感じた。花の大きさを計測してみたらレース状の先端から先端まで約10㎝あった。
何のためにこの様な幻想的なレース状の花を咲かせるのか?それは花粉を運んでもらう「スズメガ」という昆虫に花の蜜の場所を教えて受粉がスムーズに出来るよう目印となっているという。スズメガは長いクチバシでカラスウリの蜜を吸おうとすると顔面に花粉が付く、これを繰り返すことによって受粉が成り立ち、やがて実ができる。しかし、この夜はスズメガに出会うことができなかった。
◎実・・・鮮やかな赤色で遠くからでも目立つ!
初秋の時期になるとカラスウリの実は、緑色に白い縦じまが入った模様ができる。

そして、秋が進むにつれて縦じま模様は消えてオレンジ色から赤い色へと変化して実は熟して人目を引く。赤い実は乾燥させてランタン、ドライフラワーとして飾っても面白い。

◎種(タネ)・・・おもしろい形!

熟した実を縦長に切ってみると、橙色のネバネバした物質の中に黒光りした種が28粒(熟した種の数は実によって違う)縦長にきれいに並んでいた。この種を取り出して洗ってみると、大黒様の顔に似ていることと、手に持っている打ち出の小槌にも似ている。このことからカラスウリの種をお財布の中に入れて置くと“お金が貯まる”と言われている縁起ものである。
◎クロウリハムシのトレンチ行動とは!
クロウリハムシは名前の通り羽が黒く頭部、腹部が黄色で体長は約10㎜の昆虫で腹部が羽より、はみ出してふっくらしている。

トレンチ行動と言ってカラスウリの葉の表面に円形のような“傷”をつける。その理由は、カラスウリの葉の脈から出る防御物質(成分は解明されていない?)が傷つけた円形の葉の内側に入ってくるのを遮断する、そして円形の中の葉を食べる。昼間の観察時、しぼんだ花や葉に飛び交っていた。

◎参考資料
・一般財団法人 公園財団みどり花コラム
・杉並の自然学 カラスウリ