今回は唐臼について書く予定でしたが、今年作っている赤米株が次々と枯れ出してしまい緊急で原因を調べることになりました。予定を変更して「陸稲の連作障害について」書くことにします。唐臼については次回以降とします。
小学校の教育の一環として赤米の陸稲作
国分寺市民が市立第5小学校さんに協力するかたちで武蔵国分寺種赤米を栽培しています。場所は市内史跡武蔵国分寺歴史公園の予定地で塔跡2の道を挟んで南側です。ここでの陸稲作は2年目になり初年の草取りがあまりに大変だった経験から、本年は草除けのマルチ2列を2畝、1列の畝を6列、合計10列の陸稲を作っています。
赤米株が枯れだした
1株分の場所に芽出しした種籾を6粒ぐらい蒔きました。その後、子葉、本葉1、2枚ぐらいまでは草勢も強く調子が良かったのですが、本葉3枚目が出始める頃になると成長が止まりました。見た目の本葉2.5枚のままで、その後徐々に枯れだしてしまいます。調子の良い株の場所は少しですが特定の場所に集まっていますが、多くの場所の株は全ての苗が枯れてしまうか、本葉2.5枚の小数苗の株となっています。前年よりも調子の悪い場所が広がってきた感じがします。
立派な株が少ないので、今年の小学生の体験稲刈りは石包丁を使った穂刈り1本づつとなりました。せっかく歩いて赤米畑まで来てくれるのに申し訳ない気持ちです。
原因を調べることに
来年の小学生には、陸稲の稲作が大変なことを伝えたい、もう少し稲刈りをさせてあげたいとのことから、この赤米陸稲の成長障害を調べることにしました。
農作物の連作障害
農作物は同じ種類や同じ科の野菜を同じ畑で毎年作ると生育に障害がでる、連作障害を引き起こすことが知られています。ウリ科やナス科の野菜苗は連作障害を起こしやすく強勢な台木に接木することが多いようです。
陸稲の連作障害の原因
一般的に連作障害は、土中の必須微量元素の減少や、その種特有の害虫や病原菌の蓄積増加と言われていますが、陸稲の連作障害も戦後に研究が進み、昭和30年代にイネシストセンチュウが主な原因とほぼ特定され(※1)、陸稲の被害状況も研究されています(※2)
しかし、その後日本全国がコメ余りの状況になり陸稲のシストセンチュウの研究はあまり進んでいません。若干ダイズやイモ類へのシストセンチュウの研究は続いているのみの様です。
赤米畑の調査
今日では陸稲の連作障害はイネシストセンチュウであることが定説となっていますが、私たちの畑の生育障害の原因は何なのでしょうか。また実現可能な対策法はあるのでしょうか。私たちはこの赤米畑から近い東京農工大学の豊田先生に調べてもらうことにしました。この結果については後日、ここに記載したいと思います。
その他
他に気が付いたことを記します。
・この障害への黒マルチの効果は栽培前半には全くみられないが、後半になると多少の効果がみられる。
・豊田先生の調査で根部に小害虫を確認した。大きさ1mm強ぐらいでイネの根に寄生して丸い体に足があり移動する。
参考文献
(※1)1964年「イネシストセンチユウの陸稲に対する被害と防除に関する研究」星野三男・尾田啓一・谷中清八・滝田泰章・熊沢隆義
(※2)1976年「イネシストセンチュウ(Heterodera elachista)による畑水稲の被害解析」清水啓(農事試験場)