武蔵国分寺種赤米のはなし(2)

曲がり松の奇跡

平成9年(1997)、画期的な発見がありました。それまで日本では、西日本の三か所でしか生存していないと思われていた在来品種のジャポニカ種赤米稲が、遠く東日本のそれも国分寺市東恋ヶ窪の畑で見つかりました。発見したのは法政大学の長沢利明先生。まさに曲がり松の奇跡が世間に知れた瞬間でありました。

武蔵国分寺種赤米

この赤米稲は、同じ国分寺市にある奈良時代の歴史的遺跡である武蔵国分寺跡の名前にちなんで「武蔵国分寺種赤米」と呼ばれるようになりました。そして平成 27年からは陸稲で国分寺市内の栽培が再開されました。

全国にある在来品種の赤米

在来品種の赤米とは、むかしのイネが持っていた特徴を色濃く残すイネで、明治以降にさかんに行われた品種改良がされていない品種を言います。在来品種の赤米は、西日本の三か所と、東日本の国分寺市で栽培されてきました。

・総社種赤米稲‥岡出県総社市の国当神社に伝えられてきた、神無用赤米在来品種です。赤褐色の籾で、鮮紅色の長い芒(のぎ)があります。

・対馬種赤米稲‥長崎県対馬市の多久霞魂神社に伝えられてきた、神無用赤米在来品種です。茎が太く、穂があまり垂れない特徴があります。

・種子島種赤米稲‥鹿児島県種子島の宝満神社に伝えられてきた、神無用赤米在来品種です。ジャヴァニカ種ではないかとの説もあります。芒は白いですが、玄米は赤い色をしています。

・武蔵国分寺種赤米稲‥東京都国分寺市東恋ヶ窪で、平成9年(1997)に見つかった陸稲赤米稲です。7月には早くも出穂する超早稲種で、茎が人の背丈ほどにも伸びる野性的な赤米稲です。乾燥にもよく耐えます。

参考:武蔵国分寺跡資料館 平成28年度秋李企画展「武蔵国分寺種赤米」

武蔵国分寺種赤米

武蔵国分寺種赤米の玄米